
エイズ孤児とは

エイズ孤児のおかれている状況
生活力を持たないエイズ孤児たちの多くは親戚に引き取られます。兄弟がそれぞれ別の親戚に引き取られ離散することも頻繁に起こります。引き取り先でも生活が困窮している家族ではこうした子供たちにしわ寄せがくることが多く、そのために彼らは精神的に不安定になり怒りや悲しみ、家族に負担を与えることへの罪悪感や絶望感などを背負い、こうした心の傷が子供たちの精神的トラウマになってしまうこともあります。
精神的負担に加えて、労働力としても利用されがちな孤児たちは身体的負担も大きく、未来に希望をもてない中でアルコールや麻薬に頼ってしまうことケースもあります。保護や支援を受けていない孤児の中には誘拐され強制的に少年兵にさせられたり、重労働や売春を課せられたり、路上での生活を余儀なくされる子供たちも多くいます。

こうしたエイズ孤児問題の対応策として教育の保障は重要なウェートを占めています。エイズ孤児はそうでない子供たちに比べ就学率が低く、就学している孤児たちもしばしば学校を中退したり勉強に後れを取ってしまいがちになり、精神的成長を遅らせると共に社会進出への道も限定されてしまいます。未来を担う子供たちに教育が行き届かないことで様々なエイズ問題からの復旧にも多大な影響を来たし、新たなエイズ孤児を生む負の連鎖を引き起こしています。
エイズ孤児は栄養失調などの健康障害、「エイズ孤児」というスティグマからの虐待、そして労働力としての利用など、現在も彼らの基本的人権が侵されています。総体的支援が確立されていない中、エイズ孤児の大多数が存在し貧困にあえいでいるアフリカ地域では社会の最下層にいる彼らに負担がのし掛かかっています。
今までエイズ問題に対して保健衛生的な支援が重視され続けてきた中、その影で生きているエイズ孤児たちへの長期的かつ継続的な保護が現在、国際社会で叫ばれています。
エイズ問題
サハラ以南のアフリカでは、栄養不良がかかわる病気などで年間約250万人の子どもが命を落とし、小学校に通えない子どもは42%に達します」(UNICEF)アフリカは貧困、環境、保健・医療等、さまざまな問題を抱えていますが、中でもエイズの問題は深刻で、ザンビアなどでは国が消滅してしまうのではないかと言われているほどです。
アフリカでは、これまでにエイズが原因で約2500万の人が死んでいると推定されます。現在、患者になっているといわれるのが、約2800万人。東京都の人口の2倍以上がエイズにかかっているのです。しかし、貧困のため、1日1ドルのARV(※)を買えず、死んでいく人々もたくさんいます。
エイズの主な感染経路はセックスですから、片方の親がかかると両方の親が死ぬケースが多くなります。アフリカには今、エイズ孤児が1100万人いますが、数年後には2000万人になると予測されています。
孤児たちは、親戚などの身寄りがあればそこに引き取ってもらえますが、それができない子どもたちはストリートチルドレンになり、もちろん学校にいくこともできず、盗みをはたらいたり、売春婦になったりします。そうした子どもたちはエイズにかかる率が高く、悪循環が続いているのです。
ストリートチルドレンを拉致してきて、兵隊に仕立てるようなことも行われています。そういう少年・少女兵が30万人くらいいると言われています。私たちの支援するウガンダでも、北部では紛争が続いており、エイズ孤児に限らず、多くの子どもたちが戦闘に巻き込まれています。子どもたちは心に深い傷を負い、笑顔を失い、まるで蝋人形のようだといいます。
エイズ孤児が少年奴隷になるケースもあります。
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| こうした、子どもたちを巻き込んだ問題の根本原因は貧困にありますが、植民地支配の終わりから現在に続く援助にもかかわらず、いまだにアフリカはその悪循環から脱出できていません。援助の方法に問題があったり、もともと農業などが難しい気候であることも貧困に拍車をかけています。 |
貧困を絶つためのひとつの鍵として、教育は特に重視されており、各国から多くのNGO、NPOがアフリカに訪れ教育によるサポートを行っています。私たちも、必ず教育は子どもたちの将来、さらにはアフリカの発展につながると強く信じています。識字率が上がることで、正しい情報を手に入れられるようになったり、人権や民主主義などの概念的なことも理解できるようになることは、「Positiveな生き方」につながるのではないでしょうか。また、そうしたことが積み重なることで、長期的な視点で見れば、アフリカ全体における貧困サイクルからの脱出につながるのではないでしょうか。
※ARVとは・・・
抗レトロウイルス薬のこと。
完全な治療法ではありませんが、毎日決まった時間に続けて飲むことで、HIVの発症を抑えることができます。しかし、知的所有権の関係で、先進国が特許を握っており、高価なARVは手に入れることが難しいのです。 日本でも毎日の飲み続けようとすると年間100万円近くかかるといわれています。(但し、日本の場合は社会保障がきくのでそれほど個人の負担は重くありません)
当然、日々の暮らしも厳しいアフリカでは特許薬を手に入れることは困難ですから、アフリカを含む途上国では、ARVのジェネリック薬(特許によって保護されていない医薬品で、原則として化学的に特許薬と同一のもの。価格は一般的に特許薬よりも低く設定されています。)の輸入と国内普及のために先進国と裁判で闘っています。
2003年8月末の世界貿易機関(WTO)の決定により、特定の状況下において、貧困国が特許により保護された抗レトロウイルス薬のジェネリック薬を輸入することが可能となりましたが、まだまだ十分に普及できないのが現状です。
参考:岩波ブックレット 「エイズとの闘い 世界を変えた人々の声」 林達雄著
(http://www.ajf.gr.jp/daihyo/20050603.html)









