今回は「プロジェクトの評価」についてご紹介します。
プラスではプロジェクトの評価に「参加型評価」をとりいれています。
「参加型評価」とは、プロジェクトの参加者自身がじぶんたちの関心や問題意識を評価計画に組みこみ、評価の目的にそって手法を選択していくアプローチです。関係者の主体性を高め、改善に活かしていくことができる新しい評価のあり方といえます。
参考文献
源由理子(2011)「地域社会における行政と住民の協働による評価-評価プロセスの活用(Process Use)の観点から-」『日本評価研究』Vol.11 No.1: 61-74
田中博(2011)「市民社会におけるNGO/NPOと評価の役割-マネジメント能力を高め、NGO/NPOの進化を加速させる参加型評価-」『日本評価研究』Vol.11 No.1: 75-90
評価というと、評価をする人が対象(プロジェクトやプロジェクトを実施する人)を分析し、評価結果を出すのが一般的です。
現地のひとびとのオーナーシップを大事にし、あげる支援ではなく「つくる支援」を目指しているプラスでは、プロジェクトを実施している現地のひとたちが、自分たち自身でプロジェクトを振り返る機会を提供するため、現地で参加型評価を実践しています。
今回と次回の2回に渡り、ペーパービーズ事業で実施した参加型評価の事例をご紹介します。
参加型評価事例①:事業の進捗をグループで評価する試み
ウガンダのルウェロ県で実施しているペーパービーズ事業では、①ペーパービーズの質、②シングルマザーの心理的な状態、③現地の事業管理について参加型評価を行っています。
シングルマザーとパートナー団体のスタッフとプラスの三者が集まる機会に、ひとつひとつの項目に対してシングルマザーやスタッフがどのように感じているかを三段階で点数付けをしていきます。
定期的な打ち合わせの様子
シングルマザーたちが自分たちの制作したビーズや自分たちの現状について、自分たちで点数を付けることは慣れないことですが、皆で話し合いながら合同で点数を付けるのを楽しんでいるように見えました。
点数を付けるための話し合いを通して、どこに課題があるのか、どの点に気を付けてビーズを作っていけばよいかといったことをシングルマザー自身が確認する機会となります。
評価のやり方について説明するパートナー団体スタッフ
評価の目的や項目についてはプロジェクト設計に基づいて用意されており、完全な参加型評価とは言えませんが、自己評価をすることでプロジェクトの課題がどこにあるのか、プロジェクトは成果があがっているのかについて考えるきっかけとなります。
「外から与えられた」評価やプロジェクトではなく、「自分たちで作り上げていく」プロジェクトへシフトすることで、プロジェクト全体の質も上がり、プロジェクト終了後も彼らだけで継続した運営ができるものと期待しています。
自分の意見を述べるシングルマザー
次回は、シングルマザーが自分たちでプロジェクトの課題とその解決方法を見出した事例をご紹介します。
(文責:巣内)