HIVと共に生きる人々がイギリスで増え続けている。
しかしながらその4分の1以上の人がそれを自覚していない現状が
英国健康保護局(HPA)の最新調査から分かった。
HPAは年次報告で、2007年からの一年間でHIVの推定感染件数が8%増加したと記している。
国内の推定感染者83,000人のうち、22,000人がHIV感染を認識していないと報告している。
また、HIV感染者数は引き続き増加の傾向にあるとの見解を示し、
これには医療技術の進歩でHIV陽性でも生存率が上がったこと、
さらにHIV検査の受診件数も2008年は前年に比べ10万件増加していることを理由として挙げている。
2008年は7,300人の新規感染が報告された。
感染者の内訳を見てみると、前年に比べゲイ/バイセクシャル男性の新規感染数は減少したものの
感染リスクが非常に高いグループであることに変わりはなかった。
この新規感染のうち、58%は異性間との性的接触が濃厚とみられ、
その3分の2を占めるアフリカ出身者は国外で感染した可能性が高いという。
そして、国内の異性間感染も増加傾向にある。
HIV検査の重要性
HIV感染率が全国平均より高い43の地方自治体においては
医療従事者が定期的に患者に検査受診を促すことが必要ではないか。
HPAでHIVを専門としているDelpech医師は次のように話している。
「HIV感染は深刻ですが、早期発見ができれば効果的な治療方法が存在します。
問題視すべきは22,000人もの人々が感染を認識せず、治療の恩恵を受けられずにいるということ。
これからもコンドーム使用の呼びかけなど、セーフセックスのメッセージを発信し続けることが必要ではないでしょうか。」
また、National AIDS Trustの最高責任者、Deborah Jack氏は現状をこう語っている。
「ゲイ男性の感染のほかに、イギリス国内では異性間感染も増えつつある。
1つの感染を防ぐことで多くの人々を守ることができるはずが、
この10年間、エイズ問題が政治的にたな晒しにされ続け、
地域レベルでのHIV感染予防活動が縮小した結果ではないだろうか。」
(訳:大島陸)
原題: UK HIV cases ‘higher than ever’
日付: November 27, 2009
出典: BBC News
URL : http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/8382787.stm