今回は、ケニアで行っているライフプランニング支援のプロジェクトについてお伝えするとともに、特に絵本の読み聞かせ研修についてレポートします。
家庭訪問やワークショップで将来に対して前向きに
ケニアのホマベイ郡で行っているこのプロジェクトでは、30家庭の母子たちが参加しています。
学校教育の中ではキャリア教育は限定的です。またセカンダリーを中退した際、セカンダリーの卒業後の計画なども考える機会がほとんどありません。
一方で保護者らは子どもの発達や教育に必要な役割を知る機会がないため、子どもへの働きかけができずにいます。
そこでプロジェクトでは、地域にカウンセラーを育成し、カウンセラーは各家庭を回り、子どもにはキャリア発達を促すカウンセリングを、保護者には子どもの発達や進学、家計管理に関するカウンセリングを提供します。
また、カウンセリングを受ける母子らを集めて、職業人からキャリアパスの話を聞くキャリア―トークやワークショップ等を実施しています。
トタン屋根の小さな家に暮らすドロシーさん
シングルマザー パメラさんと、その子どものドロシーさんはトタン屋根の小さな家に暮らしています。ドロシーさんは15歳で小学校7年生。
父親がエイズで亡くなっていて、母であるパメラさんはHIV陽性。女手一つで子育てをしており、家計はひっ迫していました。
ドロシーさんは希望を持てずに暮らしていましたが、プロジェクトに参加したことで、「まだ希望を捨てずに努力すれば、違った未来がつかめるかもしれないと感じ取った」と言います。母のパメラさんからみても、ドロシーさんは学業に励むようになったと話してくれました。
絵本の読み聞かせ研修
プロジェクトでは「絵本の読み聞かせ」も行っています。
これは、子どもたちへのカウンセリングの一環として、カウンセリングを受けている子どもたちが「絵本読み聞かせ活動」で地域に活躍できる場をつくっていこうというものです。年齢の高い子どもたちが地域の小さな子どもたち向けに絵本の読み聞かせをします。
こうして地域に貢献することで、「どうせ自分なんて」と思っている子どもたちに、「自分は人のためになれる」ことを知ってもらい、自信をつけてもらうことができるのです。読み聞かせを聞きに来る小さな子どもたちにとっても、絵本を読んでもらう時間はとても貴重です。ほとんど絵本に触れたことがない子どもたちも大勢いるのです。
1月の絵本の読み聞かせ研修では、6名が新たに研修を受けました。
研修内容は、読書の役割、読み聞かせの基本、読み聞かせ練習、読み聞かせ計画、活動記録の付け方などについて学びます。
また、子どもたちの出身であるルオ族の伝統的な昔話についても読み聞かせ活動に加えて実施していこうということになりました。