PLASの支援のひとつに「ライフプランニング事業」があります。
貧困家庭のシングルマザーたちの多くは、エイズで夫を亡くしたり、初等教育を中退していたり、また自らもHIV陽性で治療中であったりします。子どもの成長や発達、進路についての知識や情報を持っていない場合が多く、子どもたちに必要なサポートができないのが悩みです。
そこでPLASは、子どもたちが、未来を切り拓いていけるように、現地でカウンセラーを育成し、子どもたち・保護者それぞれに働きかけています。
前回のレポートでは、カウンセリングを受けた保護者と子ども達から「前向きな変化があった!」との嬉しい報告をご紹介しました。
今回は、カウンセラーやスタッフとして現地での活動を支えるメンバー、そして関係省庁や学校の教師らとの「会議の様子」をお届けしていきます。
「キャリアってなんだろう?」皆で考えました。
関係者会議の参加者は教師15人と児童局、保健省、教育省の各省から1人ずつの計18名です。近くの小学校の教室を借りて行いました。
今日の会議の概要の説明や、
アイスブレイクを挟んで、
「キャリア」について話していきます。
「キャリア」ってなんだと思う?という質問に参加者からは、「経済的な安定」や「将来設計」という回答が挙がります。
大切なのは、「何になりたいか?(職業)」だけでなく、「どんな人、どんな家族になりたいか?」というところまで考えることだと伝えていきます。例えば、職業は「教師」であっても同時に誰かの親であったり、趣味でサッカーをやっていたり、実はプロのミュージシャンくらい楽器が得意だったりすることもありますよね。
そういった人としての「たくさんの顔」を持つこと・考えることも「キャリア」なのです。なりたい職業だけを考えると難しいことのように感じてしまいますが、「どんな大人になりたいか、何をしている時が一番楽しいか」という切り口で考える事で、子ども達の選択肢を広げ、「将来への希望」に繋がっていくことをPLASは願っています。
子どもの性教育についても議題に
年齢に応じた子どもの発達について、海外事業マネージャーの三関からも話をしました。
思春期のとき、「性交渉をはじめてする年齢が下がっている」というデータがあり、若い年齢で性教育をした方がいいという議題になりました。
この話は会議参加者の関心も高かったようで、会議後のアンケートにも「早期の性教育の重要性について認識を改めた」というコメントがありました。
当日、急遽セミナーの先生が増えました。
写真の中で立っている女性は、場所を提供してくれた学校の先生。
チャイルドプロテクション・子どもの保護の研修を前日に受けたばかりで、会議中にも何度もその件について発言してくれていました。
ランチの準備が予定よりも遅くなってしまったため、急遽昨日の研修内容を参加者達にも共有してもらうことにしました。
保護者が子どもをどうしつけするかという話をしてくれました。
現地では「計画通り」といかないこともたくさんあります。
今回の関係者会議の詳細案内を、実は2週間も前から用意するように事前に電話で指示をしていました。しかし、実は全く準備がされていなかったことがギリギリになって判明!2日前、そして前日になって慌てて参加者達に手紙を届けに行っていました・・・。
学校が始まるタイミングが国勢調査の関係で予定よりは遅れていたとはいえ、前もって準備をして計画とおりに動いていく、ということがなかなか出来ません。指定した時間通りに来る人も少なく、お昼時間に私用で急にいなくなったりと、落ち着いて会議ができないこともしばしばあります。
ケニアには、「ポレポレ=ゆっくりゆっくり」という文化が根付いていて、「急ぐと神の祝福を得られない」ということわざもあります。しかし、現地で長年活動を共にしていると、これは「文化の違い」として単純に受け入れるのではなく、あくまでも「人に寄りけり」だということがわかってきました。
そうしたメンバー1人1人の個性や性格と向き合いつつ、チームとしてよりよい活動が出来るようにこれからも模索を続けていきます。
こうした支援を続けることができるのは、日本から支えてくださる支援者のみなさんのおかげです。本当にありがとうございます!これからもみなさんのご寄付、応援をアフリカにしっかりと届けてまいります。