PLASの現地活動プロジェクト-新型コロナウイルス緊急支援現地レポート

新型コロナウイルスに翻弄された1年。パートナー団体スタッフの声②

PLASが2020年4月から実施した新型コロナウイルス緊急支援は、パートナー団体スタッフの「このままでは(私たちのような)貧しい人から死んでしまう」という切実な声を受けて、スタートしました。
今回は、PLASのパートナー団体のひとつ、HIV陽性者の支援団体ヒ―レコーズのスタッフの声を通して、新型コロナウイルスの影響をうけて、その時何が起こっていたのか、その後どのように立ち直っていったのかをお届けしていきます。

 

ヒ―レコーズスタッフ エバリン

エバリンはCAFE事業コーディネーターで2人の子どもを育てています。2021年3月でちょうど一歳になったアリシャスちゃんを連れて、抱っこや授乳をしながらヒ―レコーズで仕事をしています。

コロナ禍でのコミュニティの様子や、その中でも地域のために動いたヒ―レコーズスタッフとしての思いを聞きました。

 

(写真:ヒ―レコーズスタッフ エバリン)

 

【コミュニティへのCOVID-19の影響】

①感染拡大当初 2020年3月~5月頃:ロックダウン時

「COVID-19の感染が拡大した当初、コミュニティでは感染はすぐに落ち着くだろうと考えられていました。私の母は学校の先生で、休校してしまった学校もすぐに再開するだろうと思っていました。しかし、ロックダウンが始まり学校が再開されず、そのときはじめて、人々はこれは深刻なことなんだと理解しました。

仕事ができなくなり、交通機関とまって移動もできなくなり、すべての人が影響を受けました。大統領が2回目のロックダウンをしたときに、特に女性に影響がありました。食糧不足が深刻化したため、夫によるDV被害を受ける女性が増えたのです。

 

②感染拡大期(2020年6月~12月)

「公共交通機関の規制も緩和されていきましたが、変化はほんの少しだけでした。人々の生活は苦しい状態が続いていました。

人々はラジオで、ロックダウンがあと何日続くなどCOVID-19に関わる情報を得ていました。政府がラジオを配るという政策を実行しようとしましたが、それも失敗しました。

5月に第一回目の緊急支援がきたときは、本当に嬉しかったです。しかもPLASは家賃のサポートもしてくれました。CAFE事業では、ロックダウン中にお店を開くことが出来なかったため、収入が得られず、お店の家賃を払うことができなくなったのでとても助かりました。受益者のママたちは、お店を再開するまでは、家でスナックを作って売っていました。

 

 

政府も食糧配布を行いましたが、それは形だけのものでした。タウンだけに配布し、すべての人にいきわたるものではありませんでした。

コロナによって、人々はいつくるかわからない不確実な出来事に対応するために、日々準備をする必要があると学びました。日々貯蓄をすることや、ビジネスの形態を多様化することなどです。またコロナ禍においては、特に農業の恩恵を受けたと感じています。仕事がなくなってお金がなくても、農作物を食べてしのぐことができました。」

 

③現在(2021年1月~現在)

「現在の生活は以前よりもよくなりました。経済も徐々に回復しています。

学校も少しずつ再開していますが、エンターテインメント業界は今だ影響を受けています。人々は感染予防対策にも慣れてきました。マスク、手洗い、消毒等、日常的な習慣が変化しました。

第2回(10月)と第3回(2月)の緊急支援で配布した食糧のなかに、CAFEの受益者がつくったドーナツも含んでもらえたことで、CAFEのビジネスが加速したと感じています。」

 

(写真: CAFEの受益者がつくったドーナツ

 

Q:感染拡大が始まってから、事務所にどんな声が届きましたか?

「人々は希望を求めていました。コロナによってさらに貧しくなり、特に食べ物を得ることができなくなっていました。

コミュニティでは、妊娠する子どもが増えたとよく聞きました。学校が閉まっているため、先生に代わって親が子どもを見なくてはいけなくなったのですが、コロナ禍で思春期・青年期の子どもの生活によくない変化が起こってしまったのではないかと感じます。」

 

Q:コロナ禍ではどんな気持ちで仕事をしていましたか?

「コロナ禍では、ヒ―レコーズも事務所を閉鎖し、在宅勤務をしていました。コミュニティに様子を見に行くことができず、個人的はとても辛かったです。

夜の外出禁止令が出たことにより、CAFEの営業時間が短くなり、お客さんが減りました。でも、「この状況はいつか終わる」とCAFEのママを励ましたり、感染症対策(手洗いなど)をするように声をかけていました。」

 

【緊急食糧支援の効果】

Q:PLASの緊急支援を実施して感じたことは何ですか?

「緊急支援がくるとはじめて聞いたときは、「これは現実なの?」と、とても信じられませんでした。神に感謝しました。

緊急支援を実施して、母と子の関係に変化がありました。食べ物がなく学校もなくなった子どもは、イライラして母親に当たったりよくない態度をとることがありましたが、食糧支援のおかげで母子関係も改善されました。

 

Q:配布をもらった人たちはどんな様子でしたか?どんな言葉をもらいましたか?

「1回目の食糧を配布した時は、受益者は苦しそうな様子でした。でも、2回目の支援の時は変化があり、少し健康状態が回復しているように見えました。

受益者は裕福な家庭しか支援を受けれないと思っていたようで、支援をもらったときはとても嬉しそうでした。「米も食べれるの!?」という驚きの声や、これでバランスのとれた食事が食べれる、という安心の声もありました。また、子ども達も嬉しがっていました。とくにミルクがよかったみたいです。」

 

 

Q:緊急支援と緊急支援の間の受益者の生活はどんな様子でしたか?

「彼女たちは強くなったと思います。人との接触がなく孤立状態のところに支援がきたことで、「人が来てくれた!嬉しい!」と元気がでて、生きるためにがんばらなければ、と思ったようです。」

 

Q:緊急支援が現在の受益者の生活にどんな影響を与えたと思いますか?

「CAFÉのママたちは、配布でもらった食糧を自分たちで食べるだけではなく、お店のメニューで使ったりしていました。材料を購入する代わりに、配布された米や豆を料理に加えて提供していました。」

 

(写真: HIV陽性者グループへの食糧と石鹸の配布)

 

Q:日本の支援者のみなさんにメッセージ

「心から本当にありがとうございます。スタッフも受益者も、コロナ禍で多くの人の生活が苦しくなりました。どうか神のご加護がありますように。シングルマザーに食べ物やコロナ対策用品を支援していただいてありがとうございます。PLASのるいこ、みお、りさ、かずに感謝しています。PLASの支援が多くの人の人生を変えてくれました。」

 

引き続きPLASは、ウガンダ、ケニアに支援を届けてまいります。応援の程、どうぞよろしくお願いいたします。

 

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