PLASの現地活動ウガンダプロジェクト-SMILE

ウガンダレポート|貧困の連鎖を断ち切れ!SMILE事業を始めます。

ウガンダ中南部に位置するルウェロは人口約52万人、HIV感染率7.6%に対してルウェロでは8.9%と高い感染率を示しています。

初等教育へは86%の子どもが入学するものの、様々な理由で中退・ドロップアウトしています。そのため、初等教育を終えて、高等教育進学できる子どもはわすか38.2%で、卒業できる子どもはさらに少なくなります。

 

就職において学歴が重要とされるウガンダ社会では、高校や職業訓練校に進学できないことで、定職に就くことができない若者が多く存在します。そういった若者が子どもを産み、その子どもも必要な教育を受けられないという悪循環におちいっているのです。

 

今回は、こうした世代を超えて連鎖する貧困からの脱却を目指し、PLASが新たに立ち上げたSMILE事業をご紹介させていただきます。

子ども達が学校に行けない3つの理由

HIV陽性の保護者を持つ子どもが必要な教育を受けられない理由は大きく三つあります。

 

①保護者が教育費を支払うことができない

この地域では8割近い人々が自分の土地を持ち、農業を収入源、家庭の食糧収穫源としていますが、そのほとんどが農業の基本的な知識も知らないままの自己流に留まっています。その結果、収穫量が家庭内消費量にも達しておらず、収入につながる販売量を確保できていないという課題があります。

 

②保護者が継続して働ける健康が保たれていない

多くのHIV陽性者が適切な抗HIV薬服用方法や栄養について知りません。毎日薬を服用することで、エイズは死なない病気となりましたが、服用を止めたり、薬が合っていないことに気付かずに免疫が下がり、結核等の病気にかかって重症化する人が後を絶ちません。そのような場合、多額の医療費を支払わなければいけないだけでなく、働くことができず、生活必需品や教育費に充てるお金を確保できなくなっています。

 

③保護者の教育に対する理解や優先順位が低い

保護者が初等教育を修了していないことや高等教育へ進学した経験がないことも影響し、自分の子どもが学校でどのような内容を勉強して、どのような夢を持ち、高校へ進学するためには何を準備すればよいのかを知らないと答える保護者が70%にのぼります。

貧困脱却のための4つのアプローチ

上記の課題解決のために、SMILE事業では今後1年を通して4方面から支援を届けていきます。また事業後には継続してモニタリング、フォローアップを行っていく予定です。

 

【農業研修】

事業では持続可能性の点から、患者本人の農業技術を向上させ、自らの力で食糧や収入を確保できるスキルを身につけることができるよう、農業専門家による農業研修や家庭訪問、ファイナンスやマーケティングの研修を行います。

 

【治療環境を良くするためのアドヒアランス向上研修】

「アドヒアランス(adherence)」とは、「患者が治療方針の決定に賛同し積極的に治療を受ける」ことを意味します。

治療に向きあう環境を改善して、本人だけでなく家族も一緒に主体的に治療にのぞみ、未来に希望を抱けるようにして欲しいと願っています。そして、治療を続けていくために十分な、栄養のある食事を継続してとれるよう、栄養改善料理教室の実施を予定しています。

 

【カウンセリング】

保護者の教育に対する意識改善として、PLASでは、同様の問題を抱える隣国ケニアで子どもと保護者へ個別カウンセリングを実施してきました。

その結果、保護者からは「子どもの宿題を見るようになった」「高校進学に必要な金額を把握した」、子どもからは「学習意欲が上がった」「保護者とよく話すようになった」など嬉しいフィードバックが届くようになりました。カウンセリングによって経済的に困難な状況であっても、教育にお金を捻出したいと態度を変える保護者が増え、子どもも積極的に教育を受けることができると考えます。

 

【グループ貯蓄】

農業を通して増えた収入、そして定期的な貯蓄活動をすることで、子ども達の学費を払ったり、定期的な通院と治療代にするなど多様な未来の可能性につながるよう、SMILE事業では毎回、ミーティング時に参加者から貯蓄を預かり管理をしていきます。

 

これからもシングルマザーと子どもたちが未来に向けて前向きに歩んでいけるよう、活動をつづけていきます。

こうした活動が出来るのは日本の皆様の温かい支援のおかげです。

継続的に活動を応援、支援してくださる方がいらっしゃいましたら、PLASのマンスリーサポーターをご検討いただけますと幸いです。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

https://www.plas-aids.org/support/monthlysupporter

 

※本事業はJICS NGO支援にご助成いただいています。