PLASが手掛けるプロジェクトの一つであるFLOWER(生計向上とキャリアプランニング支援事業)。FLOWER事業は、HIVの影響などで経済的余裕がなく、教育について適切に情報にアクセスできない家庭を支援しています。
在来種野菜と樹木を組み合わせた農業で生計向上に取り組み、カウンセリングを通じて子どもたちがキャリア・ライフプランニングを行えるように保護者と子どもに働きかけを行っています。
現地パートナー団体ヴィアジェンコとともに、ソーシャルワーカーにカウンセラー研修を行った様子を以前の記事でご紹介しました。今回は、12日間の研修を終えて実践で経験を積んでいるカウンセラー、そして先輩カウンセラー達に日頃の仕事の様子をインタビューしてきました!
研修の様子はこちらの記事から
子どもたちの将来を形にする〜FLOWER事業のカウンセラー育成について〜前編
トビアス:PLASケニア事務所スタッフ/ コンサルタント
カウンセリングという仕事は、興味がなかったらとんでもなく大変だけれど、好きであればすごくハマる仕事です。キャリアガイダンスをしていると、子どもたちは「小さいけれど大人達と同じ人間」であることを伝えるということが大切だと思います。
例えばケニアでは、子どもたちは感情をあまり感じないと思っている大人も多いです。バカにしたり、怒ったりしても何も感じないと思っています。しかし、実際はそうではなく、もちろん子どもたちも傷つき、怒ります。それに、一般的にケニアでは保護者が子どもの勉強をみることはありません。学校から子どもたちが帰ってきたら、次の学費の支払いのタイミングだけ確認して終わりです。カウンセリングでは宿題の大切さ・宿題を一緒に確認することの大切さも伝えています。
ヒラリー:28歳。カウンセラー、教師。サッカー観戦、読書が好き。
カウンセリング研修では特に宿題の大切さを教えるセッションが印象的でした。カウンセラーは励ましたり子どもの保護者のアクションを促したりする役だと思っています。
ー仕事で難しいと感じるところー
ペンや教科書を買ってほしそうにする保護者に対応するときです。
エマ:母親。カウンセラー、Psycho-social counsellor
キャリアカウンセラーとして働けることをとても楽しんでいます。
ー仕事で印象に残っていることー
特に印象に残っていることは、保護者とポジティブコミュニケーションを取ることです。良いコミュニケーション、悪いコミュニケーションについても学び、良いコミュニケーションを取ることは子どもの自信につながることも学びました。自分自身も子どもがいる母親であるため、ポジティブコミュニケーションの取り方など子どもとの接し方が変わって関係が良くなったと感じています。
ダン:ダニエル。既婚、2人の子どもがいる。サッカーをすることと、魚を食べるのが好き。
10人の保護者と10人の子どもを担当しています。学校訪問した際に先生と話す機会があったのですが、お金だけあげる支援であると、お金をあげた途端退学してしまう子ども(家庭)が続出したことがあったそうです。FLOWER事業ではただ与えるだけではなく、教育について保護者が理解し、農業を通じて収入を得て、受益者自身が教育費を払えるようにすることが出来ると考えています。しかし何度説明しても、『教育費を代わりに支払ってくれるのでは』と期待されていることも事実です。
ー好きなセッションー
SRH(性と生殖に関する健康と権利)のセッションが特に気に入っています。私達が活動するホマベイ群はHIV陽性率25%、子どもの早期妊娠率も異様に高いです。保護者の多くはSRHに関して子どもと話すことを恐れていますが、私はSRH教育をとても重要なことだと考えています。
ポウリン
「子どもたちの行動が良い方向に変わった」というポジティブフィードバックを保護者からもらえる時が一番嬉しいです。今では地元の市場に行くと、すれ違った保護者から「先生!ちょっと先生聞いてよ!」と声をかけられます(笑)。「私あなたの先生だった?」と聞くと、「先生でしょ!」と断言されるのです。
ー仕事で難しいと感じるところー
保護者から聞いていた電話の番号が本当は誰にもかからないものだったという場合や、約束した時に行っても家に誰も居ない場合など、カウンセリングが思うように進まないところです。
ヘンリー(インターン)
カウンセリング経験は今までありませんでしたが、大変良い経験をしています。
ー仕事で印象に残っていることー
保護者の様子を見ていると、だんだんとモチベーションが上がってきていることが分かります。カウンセリングに行った際、保護者から「子どもが最近失礼な態度を取らなくなった」とポジティブフィードバックをくれる時が一番やりがいを感じます。
シーシア(インターン)
ー好きなセッションー
子どもたちがキャリアと社会への役割の虹を描くセッション※が特に好きです。キャリアと役割の区別がついていなかった子たちが分かるようになっていく過程が良いです。宿題の大切さを教えることもとても大事だと思います。
※自分の一生涯の役割を虹のように表現することで、子どもは人生の役割に幅があり多様であることを認識できるようにしています。子どもが、一般的な職業に関する情報・統計・表面的な知識ではなく、自分の好きなこと、自分の強みに基づいて、自信を持って自分のキャリアビジョンを考えることにつながります。
カウンセラーは、この絵の練習を通して、子どもが自分自身や自分の置かれている状況を俯瞰して認識し、意思決定能力を身につけることができるように促します。
子どもたちが学校に通い、将来を思い描くことができるよう、そして「進学」など次のアクションにつなぐことができるように、FLOWER事業によるカウンセリングと農業支援をこれからも続けていきます。
こうした活動が出来るのは日本の皆様の温かい支援のおかげです。
継続的に活動を応援、支援してくださる方がいらっしゃいましたら、PLASのマンスリーサポーターをご検討いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。