PLASが活動している東アフリカのウガンダとケニアの子どもたちのおよそ80%の子どもたちは小学校に入学することができます。
しかしその4人のうち3人は小学校を中退せざるを得ない状況にあります。
彼らは小学校を卒業できず、中高等学校に進学できないことで、将来の夢を持てずに暮らすことも少なくありません。
なぜそのような状況になってしまうのでしょうか。
その理由として「経済的な困窮」や「親の教育への理解不足」などが原因として挙げられます。
しかし最も大きな理由として「HIV/エイズ」の問題があります。
世界のエイズ孤児、その数1,220万人
AIDS orphan(「エイズ孤児」)とは、「エイズによって片親もしくは両親を失った18歳未満の子ども」をいいます。
日本語で孤児という言葉は両親を失った子どもを一般的にさすので、「遺児」と置き換えた方が私たちの感覚に近くなるのかもしれません。
また、すべてのエイズ孤児がHIV陽性であるように思われるかもしれませんが、母子感染などにより親から感染している可能性はあるものの必ずしも感染しているとは限りません。
UNAIDS(国連合同エイズ計画)によると、エイズ孤児は全世界に1,220万人いるとされています。
うち、多くがサハラ砂漠の以南のアフリカ地域におり、PLASが活動するケニア・ウガンダのエイズ孤児の数は各国50万人以上にのぼると推計されています。
※UNAIDSの統計(2018年7月発表)より。推計値には幅があり、大きく見積もられた人数は1,560万人となっています。
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複雑な問題
では、エイズ孤児の何が問題なのでしょうか。
感染による健康上の問題はもちろん、大きな問題の一つには偏見と差別が挙げられます。
本人の感染にかかわらず、親がエイズで亡くなったことで差別を受け、引き取り手が現れず行き場を失ったり、自尊心を持てず精神的な不安定を抱えるエイズ孤児が多くいます。
また、子どもの学校中退という根深い問題もあります。
治療薬の普及によって両親を失うケースより片親を失うケースのエイズ孤児の割合が増加傾向にありますが、その場合、稼ぎ手を失って家庭が貧困に陥ることで学校に通い続けることが困難となってしまうのです。
ウガンダでは小学校教育は原則無償化とされていますが、実際は制服代や進級テスト代を家庭が負担しなくてはいけません。これを払うことができず、小学校を中退する子供は2人に1人とも言われています。
そして学習機会を逸失したまま大人となり、今度はこれによって就業機会を得られず、貧困の連鎖に陥る―
このように、エイズ孤児の問題は様々なことが複雑にからみあっているのです。
PLASの取り組み
これらの問題を解決するためには、問題を俯瞰的・多角的にみつめ、戦略をもって取り組む必要があります。
これには、子どもたち本人だけでなく周囲の大人たちへのアプローチも不可欠です。
私たちPLASは、現地人パートナーやエイズ孤児を抱える(片)親・地域のコミュニティや行政担当者とも協働しています。
また2020年からエイズ孤児だけではなく、HIV陽性のシングルマザー家庭や貧困家庭などへも支援を届けています。
わたしたちは、取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会を目指して活動を続けています。