2006年8月21日から9月6日まで17日間ウガンダ共和国にてエイズ孤児支援NGO・PLASの第一回ワークキャンプを開催しました。
本事業は、PLASの一プロジェクトであるNabweru/Blessed school プロジェクトの一貫ですが、PLASの理念に共感したワークキャンプ参加者の「エイズ孤児たちの力になりたい」「アフリカを感じたい」、といった声と共に実施しました。
PLAS設立以来、一つの節目として目指してきた事業の一つですが、JICA等、多くの協力者のもと、大きな成果と今後の展望を得ることができました。
*参加前の参加者のエッセイは こちら
*キャンプ事前研修の報告は こちら
活動内容
<概要>
本活動は、日本とウガンダの若者が約3週間共に生活をして、地域住民たちとエイズ孤児の学校の建設およびエイズ予防啓発のプログラムに取り組む国際ボランティア活動、ワークキャンプという形態で行いました。
<期間>
2006年8月21日〜9月6日
<実施地域>
Kampala Nabweru Kafunda Mubuuke地域一帯、Blessed Nursery & Primary School
<参加者>
現地建設専門家を2名雇用、UPA職員3名、
ウガンダ人ボランティア8名
PLAS調整員3名
PLAS中長期調査員1名
日本人ボランティア13名
<各企画>
① 小学校建設
日時 2006年8月21日〜2006年9月6日
活動場所 Blessed Nursery & Primary School
目的 小学校の校舎を建設することで、Blessed Nursery & Primary Schoolに通う生徒が、常に安定した場所で教育を受けられるようにする。
詳細内容 土台づくり、レンガ積み、セメント塗り
② エイズ孤児予防啓発活動
日時 8月25日、26日 10:00〜12:00
活動場所 Blessed Nursery & Primary Schoolに通う子どもたちの住む地域(Nabweru近辺)
活動目的 VCTの重要性を訴えるとともに、PLASの活動を多くの人に知ってもらう。
詳細内容
・ 日本でエイズ孤児への教育を呼びかけるポスター、VCTを推奨するポスターを制作。
・ ワークショップの宣伝を含め、VCTと子どもたちへの教育の重要性を訴えながら、地域の各家庭やお店を回り、ウガンダ人ボランティアと共にポスターを貼っていった。
<感想>
この地域では、英語がしゃべれない人がいる、と聞いてはいましたが、ポスター貼りのときになって、ほとんどの人が英語をしゃべれないことがわかりました。ウガンダ人とともに宣伝活動を行う重要性を感じました。
また、ポスターを貼りつつ、ワークショップを宣伝する過程でVCTについて聞かれました。「テストを受けて、もし私がポジティブだったらどうしてくれるの、薬を買うお金もないわ」というような質問を受けたが、薬は無料だと聞いていたので戸惑いました。後から聞いた話では、本来は無料なのですが、医者や薬剤師が知識のない人たちから薬のお金をとっているらしいということでした。そのことから、正しい知識を持ってもらうことの重要性を感じ、そうした予備知識をもって活動する必要があると感じました。
途中で、母子ともにHIVポジティブの家庭を訪問しましたが、この家庭は子どもを病院に連れて行くお金がないということで、子どもは溺死の状態でした。その親子には、ワークショップに来てもらい、今後、ローカルNGOであるAICのケアを受けられることになったのはよかったです。
(文責:服部、根本)
③ ワークショップ
<日時> 9月1日 14:00〜17:00
<開催場所> Kazo Charch of Uganda Primary School
<活動目的>
・ 活動地域であるNabweruにおいてHIV/AIDSの基礎知識・予防法の普及や定着を図る。
・ 地域住民のHIV/AIDSに対する意識改革。また、これを通じて少しでもエイズ感染率が下がること。
<参加者> PLAS日本人ボランティア16名、UPAウガンダ人ボランティア5名、ワークキャンプに参加した地域の方々、JICAの方々、AIC(AIDS Information Center)スタッフ
<対象者> 人数:約100人
構成:Nabweru周辺の住民
<詳細内容>
[広報]
・ ポスター貼り
・ ビラづくり、ビラくばり
・ ラジオによる宣伝
・ 垂れ幕を前日から開催場所であるKazo Charch of Uganda Primary School
の入り口に貼った
[勉強会]
AICのスタッフによるHIV/AIDSに関する説明を受ける。
[ワークショップ内容]
AICによるドラマ(劇)と歌、VCT、日本人ボランティアによる日本文化紹介、コンドームの配布などが行われた。
<感想>
ワークショップは、エイズ啓発活動としては、このキャンプのメインの活動となりました。プログラムを通して、予想以上に地域の人のHIV/AIDSに対する意識が低いことがわかりましたが、一方で、アンケート結果からはAIDSに関する情報の需要が高く、今後続けてほしいという希望が多くありました。一方で、参加動機に「誰がHIVポジティブか見に来た」というものがあるなど、まだまだHIV/AIDSに対する差別意識が強いのだと感じました。
この地域で第1回のエイズ啓発のワークショップが開けたことは大きな成果だと思います。この地域でも初めて、PLASとしても初めてという何もかもが初めての挑戦という状況で無事開催されたことに意味があると感じました。最後に、このワークショップによる嬉しい知らせもありました。ビラ配りの際に出会ったHIVポジティブの子どもがワークショップに参加し、その子のケアをAICが行っていくということになったのです。
(文責:宮下、曽宮)
●ワークキャンプの感想
今回のワークキャンプは本当に寝る時以外はどこにでも子供がうろちょろしていて接する機会が多く、エイズ孤児がどの子なのかを意識することなくたくさん遊ぶことができました。また、片言の英語だったのですが啓発活動でビラ配りをしていた時の相手の反応は様々でこれがこの地域の現状なのかと肌で感じ取ることが、僕の中でこれから凄く生きていくはずです。
次はいつ来るの?という問いにその時は答えられず寂しい表情をさせてしまった子達がいるので再び来春ウガンダへ行く決心をしました。今、キャンパーみんなで建てた学校で目を輝かせながら勉強している子達の将来のためにも頑張るぞ!と過ぎていく日々を充実させています。
(文責:里吉)
今回が私にとっては、初めてのアフリカ、初めての国際ワークキャンプでした。ウガンダ人とのコミュ ニケーション、生活への不安がありましたが、キャンプ終了ごろにはアフリカン・ライフ☆を思いっきり楽しんでいました。
生活の中では、ウガンダ人キャンパーと話す機会も多く、自らエイズ孤児であるキャンプメンバーの一人は、自分からエイズ孤児であること、家族のことを話してくれました。初めは、話を聞くことに少し抵抗を感じていましたが、きちんと彼女の話、考えを聞くことがとても大事なのだと気づきました。彼女の夢はジャーナリストとして、日本で、エイズ孤児問題を多くの人に伝えることだと話してくれました。
衣・食・住、思想など文化の違いはとても感じましたが、その違いを理解することが自国以外の国の人々と関わる時に最も大切だと、このキャンプで強く思いました。
(文責:根本)
●全体の総括
本ワークキャンプの目的は大きく分けて二つありました。一つは、Blessed Schoolの校舎をほぼ一から改築すること。そして二つ目に、地域でのエイズ啓発ワークショップの開催です。
校舎の改築は、ほぼ予定通り、屋根の設置を除いてはワークキャンプ中に終了することができました。屋根の設置に関しては、キャンプ終了後無事に完成しました。大変な仕事量の中、参加者や関係者のみなさまの努力の甲斐あって、校舎を無事に完成させることができました。また、地域から雇用した大工さんがプロジェクトへの理解を示しボランティアで仕事をしてくださったり、地域の方々が積極的に建設の手伝いに来てくださり、この建設はPLASがコミュニティに受け入れられる一つの過程であったようにも思います。
ワークショップでは、問題点はいくつかあったものの、50から60名程度の方がHIVフリーテストを受け、テスト会場は長蛇の列ができました。この地域にVCT提供する機関、団体はなく、地域住民にとっても大変貴重な機会になったと自負しています。また、地域住民のアンケートからは、ワークショップからHIV/AIDSの知識を得ることができたという声も多く、また今後も続けて欲しいという要望も多数聞かれました。
また、このキャンプは日本とウガンダの二カ国国際ワークキャンプであり、参加者が互いに国籍を越え、交流し友情を深め合ったことは大きな意義があったのではないでしょうか。多くの日本人参加者は、ウガンダはおろかアフリカ大陸に足を踏み入れるのが初めてであり、参加者たちは日々のワークやウガンダ人ボランティア、子どもたち、地域の人々とのコミュニケーションを通して、メディアやイメージの中の「アフリカ像」を目で見て感じたアフリカへと変換していっていたように思います。遠い国の出来事であったエイズ孤児の問題が、より身近に感じられ、日本で今後何をすべきか?エイズ孤児のために何ができるのか?多くの問題意識とモチベーションを持ってプロジェクトを終了することができました。
今回の国際ワークキャンプはPLASにとっても第一回目のワークキャンプであり、全てが初めての試みでした。そのような中、NICEやUPA、JICA、AIC、Durex等多くの関係団体の皆様にご協力とご助言を頂き無事に事業を終了することができました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
PLAS事務局長・ワークキャンプリーダー 門田瑠衣子