10月18日、ウガンダのルウェロにて、出産適齢期の女性を対象にエイズ啓発ワークショップを実施しました。
エイズの基礎的な知識を学び、特に母子感染について学ぶことで、子どもへのHIV感染を予防することが目的です。
ワークショップには15名が参加し、赤ちゃんを連れた母親や、足の悪い女性、盲目の女性などがおり、様々なバックグラウンドを持った女性が地域の各地から集まりました。
ワークショップが開始して、HIVとエイズの違いやHIVの感染経路などを学んでいくうち、参加者の一人がファシリテーターに質問しました。
「エイズは、魔術によっては感染しないのですか?」
この女性が言う魔術とは、ウガンダやケニアなどアフリカの多くの国で広く信じられている土着のもので、特に都会から離れた村などによく見られます。
この魔術は、病気を治したり、人との関係を修復したりするような良いことから、人に呪いをかけて病気にさせたり、殺したりするような恐ろしいことまで、実に様々なことができると信じられています。
その女性が続けます。
「自分がHIVに感染したのは、魔術のせいだと思っていました。」
彼女は子どもの頃に両親をエイズで亡くしました。
両親は亡くなる前、「性交渉を持つとHIVに感染するから、性交渉は絶対に持ってはいけない」と彼女に教えたそうです。
彼女は両親の教えに従ってきましたが、その後彼女自身もHIVに感染していることがわかりました。
彼女は、誰とも性交渉を持ったことのない自分が感染したのは、近所の人が彼女に魔術をかけたからに違いないと考え、それを長い間信じてきました。
ウガンダでは、人々のエイズに関する認識が広まる一方、誤った認識や迷信などが依然として多く存在しています。
特に、母子感染はウガンダで二番目に大きな感染原因であるにも関わらず、母子感染に関する正しい知識は十分普及しているとはいえません。
ワークショップ後、その女性は、自分が魔術によって感染したのではないこと、そして感染者でも子どもに感染させずに出産できるということがわかり、未来に希望が持てるようになった、と明るく語ってくれました。
(文:谷澤明日香)