2015年までに新生児や乳幼児がHIV感染をせずに生きられるようにする - 実現できる可能性はまだある。ただ、そのためにやるべきことはたくさんある。国連児童基金(ユニセフ)はこのように伝えている。
HIV感染した母親から生まれる新生児全体で、母子感染率を5%以下に抑えたい。この実現に科学の劇的な進歩は必要なく、より活発な資金調達と末端への支援提供が、女性や乳幼児など、多くの人をHIVサービスに巻き込むことに繋がる。ユニセフのHIV/AIDS対策の責任者、ジミー・コルカ―氏はこのように語っている。
タンザニアやケニアなど、一部の国では母子感染防止プログラムが進んでいて、来年には、HIV感染した妊産婦の8割に、必要なエイズ治療やサービスが行き届くようになると言われている。ただ、全体を見ると母子感染防止に関する取り組みは決して十分とは言えず、毎年約37万にも及ぶ新生児がHIVに感染しているとされている。
HIV母子感染は、必要な薬を定期的にしっかり服用すれば5%以下にまで抑えられるのだが、サービスを必要とする人に薬が届くことはまだまだ多くない。医療機関は、出産後も母親や新生児に対するケアを続け、母子がHIV治療に長期的に取り組めるようサポートすることも大切だと、コルカ―氏は話す。
母子感染を防ぐ上で一役かっているのはユニセフの「HIV母子感染防止パック」(mother-baby packs)。妊娠中から出産後に服用すべき薬(抗レトロウィルス薬)がわかりやすくまとめられているので、クリニックや保健センターに定期的に通うのが難しい遠隔地に住む妊産婦でも、服用を継続しやすい。
HIVの母子感染の90%はサハラ以南のアフリカ大陸で起こっている。ケニアやザンビアでは既に1万パックが提供されている。1パックにかかるコストは70ドル。ユニセフはこのパックの提供に更に数百万ドルを費やす予定。
「HIV母子感染防止パック」は今後も普及させていく必要があるが、資金は不足しており、資金調達はユニセフにとって大きな課題。ユニセフだけでなく、HIV感染率の高い各国も、HIV対策へのより多くの予算をあてる必要がある。ユニセフと各国が協力して、資金調達と継続的な支援活動をしていくことが、引き続き重要のようだ。
(翻訳:大場菜生子)
===========================================
原題:HIV/AIDS: Looking forward to an AIDS-free generation
日付:December 1, 2010
出展:PlusNews
URL:http://www.plusnews.org/Report.aspx?ReportId=91250
===========================================