親をHIV/エイズで亡くした子ども、エイズ孤児の人生には様々な困難が立ちはだかる。心理的ストレスを抱えている彼らの精神的安定のために、何を成すべきか。以下がエイズ孤児のトラウマを軽減する5つの方法である。
1. 家族と過ごす
アフリカのエイズ孤児の多くは親戚や祖父母に引き取られるが、家族やより近しい親戚と共に過ごすことが彼らのストレス軽減に1番効果的である。1988年のザンビアの研究では、兄弟を離れ離れにすることは子どもに大きなストレスを与えるとし、2003年にウガンダのラカイ県で行われた研究では、引き取られ先が遠い親戚になるほど、孤児の生存率が下がるという結果が出ている。
2. 最低限のニーズに応える
アフリカでは遺書を残すことは稀だ。ウガンダの統計によると、13〜18歳の孤児の多くは遺産争いを経験したことがあるという。加えて、孤児を引き取った親戚は経済的余裕がなく、孤児を十分に養えないため、経済的支援、例えば、学校給食、農業支援、雇用の拡大、奨学金等を通してエイズ孤児は支えられる。
3. 心理社会的ケア
親を亡くすだけでも子どもにとっては衝撃であるが、親が亡くなる過程を目の当たりにし、新しい環境の中で差別や偏見に耐え、さらに経済的困窮に陥るという状況を打開するために、カウンセリングは重要である。2002年にエチオピアで行われた調査では、非孤児に比べて孤児は自分を責め、問題を心のうちに抱える傾向にあることが分かっている。彼らは同じ状況下にいる仲間と問題や感情を共有することで、ストレスを軽減することができる。
4. 学校に通う
病気の親の介護が原因で多くの孤児は退学を余儀なくされる。2004年のプリンストン大学の研究によれば、サハラ以南の10ヶ国において、孤児の就学率は著しく低い。しかし、学校に通うことは孤児にとって大きな意味を持つ。ウガンダで孤児のための学校を運営している団体、キトブ・モバイルの理事ラビナ・セントンゴ氏はこう語る。「孤児が学校に行くと自分の人生と向き合うようになる。学校初日と1学期終了後の子どもの成長は目を見張るほど。」初等教育の無償化によって生徒の出席率は改善されたが、未だ教育を受けられない孤児も多くいる。
5. 孤児の保護者のケア
心に傷を負った孤児を引き取る側にも、新しい家族環境、出費、重い責任などの困難が伴う。自分の子どもが亡くなった祖父母は、孫の親となるため、祖父母が経済的困窮や過度のストレスに陥ることは多いと言う。2009年の南アフリカの研究では、孤児を引き取った家族に対して社会的支援が不十分だと指摘し、保健所や在宅ケアを通して、孤児の保護者のケアができるような体制を作る必要性について言及している。
(文責:現地インターン 足立真希)
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原題:Five ways to reduce trauma in HIV orphans
日付:Nov 10th , 2010
出展:IRIN News
URL:http://www.plusnews.org/Report.aspx?ReportId=90992
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