1997年から2007年の10年間で、ジンバブエのHIV感染率は13%も下がった。ハーバード大学のダニエル・ハルペリン氏は次のように話す。「性交渉をするパートナー数の減少や、意識や行動の変化があったのでは。でも、一番の理由ははっきりしない」。その理由を突き止めれば、アフリカの他の国でも応用できるのではと同氏は考えている。
なぜ感染率が低下したのか。調査グループは全国各地、200名の国民を対象に詳しいインタビューやディスカッションを実施。1990年から2000年にかけて、同国ではエイズによる死亡者数が30%も増加。調査によると、身近にエイズで亡くなる人が多かったその時期、みながHIV・エイズを恐れるようになり、感染に注意するようになったようだ。
1998年から2003年にかけては、複数の性交渉のパートナーを持つ男性の数は40%減少。複数のパートナーと性的関係を持っていた人がエイズで亡くなるのを目の当たりにし、パートナーを減らす人もいた。「エイズで自分が死に、子どもが孤児になるなんて考えられない」。家族の存在を意識することでHIV・エイズに注意する人もいる。
ジンバブエのエイズ対策に充てられる費用が特に拡大したわけではない。それでもHIV感染率は劇的に減少している。このことから、“エイズ対策に必要なのは、必ずしも莫大な予算投入ではない”ことが言える。必要なのは人々の意識と行動の変化だと、ハルペリン氏は話す。
ジンバブエのHIV感染率低下には複数の理由があると見られている。コミュニティで一体何が起こっているのか。どんな意識がそこにあり、人はどのような行動をとるのか。人の生き死に、収入の増減、モラルの変化など、様々な要素が人の行動や生き方を決めていると言える。その地域に合ったエイズ対策を実施するためには、地域に密着した詳しい意識調査が必要だと言えそうだ。
(翻訳:大場菜生子)
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原題:ZIMBABWE : Lessons in HIV prevention
日付:February 11, 2011
出展:IRIN News
URL:http://www.irinnews.org/report.aspx?ReportID=91901
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