PLASの現地活動現地レポート

現地インターン足立真希さんインタビュー

PLAS初の現地インターンとしてケニアに渡った足立さんが1月に帰国しました。
半年の間、現地の仕事を経験して思ったこと、悩んだことを伺います。
高校1年生のころから国際協力に携わることが夢で、現地で働きたいと思っていたという足立さん。
『一度現地の仕事をやってみないと何も始まらない』と、2010年の大学卒業後、お金を貯めてインターンに応募したそうです。(聞き手・編集:伊藤瞳)

――早速ですが、現地ではどんなお仕事をしていましたか?

英語の報告書の翻訳やデータ整理などの事務仕事が中心でしたが、PLAS事業の要でもある母子感染予防事業の会議にも参加します。
この会議では、現地スタッフが提出した母子感染予防の啓発活動の報告書の内容をふまえ、『(啓発リーダーが参加者に行った)このアドバイスは方向性がずれていないか』ということなどを話し合います。事業をより良いものにするために、お互いに意見をぶつけ合い、議論をします。

――それでは、エイズ孤児問題やエイズについて深い知識が必要になるのでしょうか?

それは重要だと思います。私もまだまだ勉強しなければいけないと痛感しました。しかし会議では、問題についてスタッフと一緒に考えることが大切だと思います。

――仕事で大変だったことや難しかったことは何でしょうか?

私にとって最も課題だと思ったことは、スタッフを含めた現地の方との『距離』の取り方です。私は現地の方と仲良くなることが好きですが、その時の状況や自分の立場に合わせて、自分のなかで仲良くなることの『線引き』をし、発言や行動一つひとつに気を使わなければいけないと強く感じました。

――現地の方との線引き、距離の取り方というのはどういうことですか?

たとえば、街中で仲良くなった現地の方に『家はどこですか?』と、聞かれて事務所の場所を教えると、『空き巣に入られるかもしれない』というリスクが生まれます。もしかしたら『お金を貸して』と、せがまれることがあるかもしれません。自分が置かれている立場を常に意識しなければならないことに気づきました。

――現地スタッフとはどんなことに気をつけていましたか?

とくに言葉に注意していました。たとえば、会議に行ったら啓発リーダーたちが来ていないということもざらにあります。その時に『早く来て!』と、注意をした場合、嫌がってやる気をなくしてしまう可能性があるので、言い方・伝え方を考えなくてはいけません。
他にも、啓発リーダーたちに活動の反省点を尋ねても、『私は今日もよく頑張ったわ!』と、反省点がまったく出てこないこともあります。そこで、根気強くいろんな質問を投げかけて改善すべき点を聞き出し、一緒に考えていけるように場を促します。『こう言ったら、彼らはどう捉えるだろうか?』『彼らはどんな反応をするだろうか?』と、いっそう注意して話すことが大切だと思いました。

――生活のなかで大変なことはありませんでしたか?

事務所兼自宅で仕事も生活していましたが、生活に関してはとくに大変なことはありませんでした。現地では心を元気にしておくことが大切なので、ときには外出するなどして、心に負担がかかり過ぎないように自分で生活を調整します。生活も仕事も、『できるときにできることをやる』が基本の毎日でした。たとえば、停電になってパソコンの充電もなくなってしまったら本当に仕事ができません。それなら、昼間でも停電の間には休んで、電気が復活したときに仕事を再開する、という具合です。普段の生活とはまったく異なる環境なので多少の体力は必要だと思いますが、決して困難なものではありませんでしたよ。

――ふりかえってみて、インターンに行ってよかった点は何でしょうか?

『現場の仕事をしたい』とずっと思っていましたが、いくら本を読んだりいろんな方の話を聞いたりしも、想像で悩んでいるに過ぎませんでした。だから、「本当に自分がこの道で良いのか?」と自分を試す気持ちもあって渡航を決意しました。しかし、実際に行ってみないとつかめない感覚をたくさん得て、『経験』という確かな感触を自分のなかに残せたことで、自分の夢がもっと確かなものに感じられるようになりました。インターンに行く前と代わらない思いを持っている自分を見つけられたことがもっともよかったことです。半年しか経験していないので、知らない側面もきっとまだまだあると思いますが、乗り越えていきたいというモチベーションになりました。

まっすぐな目と言葉で、まっすぐ未来を目指している足立さん。また現地で仕事をするための、今後の計画も少しだけ話してくれました。足立さんの夢、応援しています!

それでは、最後にインターンの基礎データを…

――お金というと、どのくらい必要でしたか?

航空券と保険料を自分で負担することになります。私は20万円でエジプト航空の一年オープンチケットをとって、10万円を保険料にしたので、合計30万円かかりました。でも、最初の30万だけが大変で、現地での費用は少なくて済みますよ。宿泊費、光熱費、活動に必要な現地の交通費はプラスから支給されます。食費は駐在員の谷澤さんと一緒に自炊したので、1日200円もしないほどです。現地での携帯電話代と、少し外で遊んだり、お土産を買ったりするのを含めて、おおよそ月に7000円から1万円でした。

――ご飯はどんなものを作りましたか?

現地の野菜を使った炒めものやパスタが多かったです。また、ジャストギビングで、谷澤さんと一緒に『ケニアの食材で30品目!』というチャレンジをしました。

――半年というのは結構長い期間ですが…。

そうですよね、わたしも学生のときは寮住まいだったので、半年も寮を空けられず、卒業後にしました。しかし、3カ月以上であれば期間・時期は相談に応じてもらえるので、方法はあると思います!