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【Weekly News】南アフリカ:HIV陽性者を脅かす麻薬「ウーンガ」

南アフリカ共和国ダーバン郊外のタウンシップ、ウムラジで、HIV陽性者が命綱である抗レトロウイルス薬(以下ARV)を目的とした強盗に襲われるケースが急増している。原因はストリートに出回っている「ウーンガ」という毒性、中毒性ともに高い麻薬で、ARVをマリファナ、粉末洗剤、ネズミ駆除剤と合成しつくられるもの。他の麻薬に比べても安価で、使用者が増え続けている。科学的には証明されていないが、ストクリンというARVの一種がマリファナの幻覚症状をさらに増幅させると信じられていることから、このような犯罪が増えているとみられている。

HIV陽性者にとっては切迫した問題だ。南アフリカでもHIV感染率が高いクワズルナタル州に住み、ARVの服用を始めて半年のシブジャさん(49)は次のように話す。「薬がなくては生きられないけど、クリニックへ薬を取りに行くにも安心できない。いつ襲われるか分からない。」

現在、南アフリカでは600万人のHIV陽性者がおり、そのうちの70万人がARVを服用している。ウーンガに使用されているストクリンは南アフリカのARV治療の中核をなしおり、この治療体制が崩れればより高価な代替ARVを使用せざるをえないなど、深刻な問題となっている。

「ここには仕事もなく、お金がない中で過ごしているとどうしても悪事に手を染めてしまう。仲間たちはウーンガを吸っていたため自分も吸い始めた。」そう語るのは元ウーンガ中毒者のタバネさん(21)。別の元ウーンガ中毒者も両親の離婚で精神的に不安定だった時期に友人から勧められ吸い始めたが、ある日目の前で友人がウーンガの過剰摂取(オーバードーズ)で死亡してからウーンガを断ったという。

南アフリカでのARVプログラムはその予算が障壁となり2008年までは限定的な展開となっていたが、就任2年目のズマ大統領はARVプログラムの拡充を打ち出している。ARVを必要としている人々に届けることができるか、今後の動向が注目されている。

(翻訳:大島陸)

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原題:’Whoonga’ threat to South African HIV patients
日付:February 28, 2011
出展:BBC News
URL:http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-12389399
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