タンザニアではHIV母子感染予防施設の15%しか乳児の早期診断を行うことができない。総合病院においてもヘルスワーカーの訓練不足や不十分なインフラにより、HIV陽性の子どもたちへの日常的な検査・治療体制が十分に整備されていないのが現状だ。タンザニアには14~16万人のHIV/エイズと共に生きる子どもたちがいると推測されているが、現在、彼らのうちの8%だけしかARV(抗レトロウイルス薬)を受け取ることができない、という。
状況改善のため、タンザニア政府は2つの小児HIV診療センターを開設し、小児科診療の取り組みを強化させている。そのうちの1つがあるムベヤは、南部アフリカから来るトラック運送業者にとって主要なルートであり、HIV感染率の高い地域の一つである。2008年に行われた政府の調査によると、ムベヤでは、HIV感染率が約9.2%で、全国平均の5.6%を大きく越えている。
センターを運営するベイラー・タンザニアの理事長、アヨウブ・マギンバ氏によると、男性の自発的割礼、セーフセックス、禁欲といった多くのHIV/エイズキャンペーンは成人に焦点を当てているため、子どもを対象とした新たなHIV対策プログラムが必要であったという。そこでセンターでは「あなたの子どものHIVステータス(HIVに感染しているかどうか)を知ろう!」というキャンペーンを展開し、子どもたちだけではなくHIV陽性の両親たちへもアプローチしている。
また、センター開設により、子どもたちは質の高い医療と同時に彼らが必要としてきた心理的カウンセリングを受けることが可能となる。子どもたちが通常の生活を送ること、学校や大学に行くこと、そしていずれHIVとは無縁の子どもを持つことができる、とカウンセリングを通して理解できるようになる、とマギンバ氏は語る。
HIVの影響を受けている子どもたちとその家族、およそ1万人が2013年までに2つのセンターでサービスを受けることが期待されている。
(翻訳:中村麻友)
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原題:TANZANIA: New centres to boost paediatric HIV care
日付: 15 March 2011
出展: IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/Report.aspx?ReportID=92200
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