15歳のビクター・オドンゴが、ケニアで出生証明書を取得するまでには、長い道のりがあった。
ほかのどの孤児とも同じように、オドンゴは両親の身分証明書を持っていない。両親が亡くなった時、オドンゴはそれを管理するにも、親が誰かを知るにも幼すぎたからだ。
両親の身分証明書持っていないため、オドンゴは自分の出生を証明することができない。つまりそれは、彼自身の身分証明書を始めとする、各証明書を発行するのに必要な出生証明書の発行が困難になるということだ。
出生証明書は学校に入学する際も、全国試験を受ける際にも必須とされており、オドンゴは昨年危うく8年生の試験を受けられなくなるところだった。
しかし、今では、社会的に弱い孤児や子どもたちの証明書の発行に対する規制緩和のため、政府や各団体が働きかけており、オドンゴと親戚の14人の孤児たちは、その明るい兆しに安堵のため息を漏らした。
出生証明書発行の規制緩和の結果、それの発行には校長が入学時に各関係者に宛てて書く、誕生日を明記した手紙だけが必要となっている。
規制の緩和は子どもたちの保護者にとっても朗報だった。役所による年齢の審査のあと、子どもの略歴と誕生日を記載した書類を役所に提出するだけで、証明書を受け取ることが可能になったのだ。
「孤児の多くは18歳以上になると教育を受ける機会や職に就く機会が激減する。教育や就職に必要な証明書を持つことができた子どもは、ほんの僅かな幸運な子どもたちだった。」とWomen Fighting Aids in Kenyaのドロシー・オニャンゴは話す。
また、証明書は子どもたちの相続権も守る。
「彼らが誰なのか、証明する書類がなければ、彼らの親が残した財産を受け取ることはできない」とActionAidのパスカリン・カンゲットは言う。
統計によると、ケニアには約300万人の孤児が存在し、2004年から2006年の間、孤児及び社会的に弱い子どもたちの数は180万人から240万人に増えている。その約半分の48%はエイズ孤児だ。
(文責:足立真希)
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原題:Orphans Win Battle for Identity Papers
日付:April 8th, 2011
出展:Daily Nation
URL:http://www.nation.co.ke/News/Orphans+win+battle+for+identity+papers+/-/1056/1141340/-/wyusykz/-/index.html
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