エイズ否認主義と深刻な治療の遅れに悩まされた暗黒の日々から、南アフリカのHIV/エイズ対策は長い道のりを辿ってきた。年2回開催される南アフリカエイズ会議の議長、フランソワ・ヴェンター氏が、近年の南アフリカにおけるHIV/エイズ対策の進歩について、特筆すべき5点を挙げた。
1. HIV検査
南アフリカの約1200万の人々が過去1年でHIV検査を受けている。この数は南アフリカ全人口の4分の1弱にあたる。
2. 抗レトロウイルス薬(Antiretroviral: ARV)の価格
国が実施した最近の医薬品入札交渉により、ARVの価格は過去6か月間で以前の半額となった。HIVは現在、南アフリカの公衆衛生制度において、安価で治療できる慢性疾患の一つである。
3. 治療
約140万の南アフリカ人がARVを服用しているが、まだARVを必要としている人々の半分にも満たない。しかし、140万人のうち、40万人が過去1年で新たに治療を開始している。ヴェンター氏によると、現在の治療計画では、2012年末までに230万人が治療を受けることを見込んでいる。現在、500万人以上の南アフリカ人がHIVと共に生きており、南アフリカでは1668の公衆衛生施設がARVを提供している。
4. 結核 (Tuberculosis: TB)
南アフリカ政府がようやくTB対策に取り組み始めた。TB患者の約70%はHIVにも同時に感染している。これまで南アフリカでは「TB」に対する処置が誤られ、対策予算は削減され、適切な方策も策定されてこなかった。しかし、近年ようやくTBが緊急対策課題として認識され、TBの治療体制も改善しつつある。
5. プライマリヘルスケア制度の再構築
ヴェンター氏によると、この新構想が過去20年間で最も重要な変化の一つだという。各地の保健区域の再構築が「コミュニティ主導」で取り組まれ、人々のHIVケアや治療へのアクセスを増加させている。
(文責:中村 麻友)
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原題:SOUTH AFRICA: Top Five Recent Successes in HIV
日付:8 June 2011
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/Report.aspx?ReportID=92931
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