2013年3月4日、ケニアでは大統領選がおこなわれました。新憲法下で行われる初めての選挙です。
前回の大統領選が実施されたのは2007年。
選挙後に発生した暴動で1000人以上が亡くなり、およそ60万人が家を追われ国内避難民に。この惨事は世界で広く報道されました。あれから5年、今回の選挙について、退避先のウガンダから振り返ってみたいと思います。
今回の選挙では8名が大統領に立候補していたのですが、私たちの事業地及び事務所を構える西部のニャンザ州は“ルオ族”が多数を占めており、彼らのほとんどは首相であるオディンガ氏の強力なサポーターです。事業地に行っても見かけるのは、オディンガサポーターばかり。別の政党を支持しているとはとても言いにくい状況。
選挙前にはあちこちに多数の治安部隊が配置され、タウン中心にある広場にはサポーターが集まって大集会を行っているのをよく見かけました。投票日数日前からはヘリコプターの飛び交う音が頻繁に耳につき、最初はテレビ局か何かかと思っていましたが、実は候補者所有のヘリコプター!ケニアの議員さんはとってもお金持ちのようです。。。
そして厳戒態勢で迎えた選挙当日。
国際社会が見守る中、予想されたような大きな暴動もほとんどなく、何キロも先まで延びた長打の列に何時間も忍耐強く並び、粛々と投票を続けるケニア国民の姿がテレビに映し出されました。炎天下を4時間も5時間も辛抱強く待つその姿は、ケニア国民の政治への意識の高さを物語っているようでした。
集められた投票箱 via washingtonpost
緊迫した雰囲気の中で開票が始まりました。
投票日よりも、この開票結果から暴動などが起きることが懸念されていたため、注意深く見守ります。選挙管理委員会は48時間以内に発表するとのことでしたが、集計システムのトラブルでいつになっても結果が出ない・・・こんなところがケニア、ご愛嬌です。結局手作業で再集計し、9日に結果が発表されました。
事前には、一度目の投票ではどちらも過半数表の獲得には至らず再投票となる可能性が濃厚だと言われていましたが、蓋を開けてみれば最終投票結果は50.07%の過半数表を獲得した副首相のケニヤッタ氏の当選。対するオディンガ氏は43.31%の得票率でした。(この結果に対し、オディンガ氏は「不正があった」として3月11日に最高裁判所へ異議申し立てをおこなっています)
ちなみに、今回大統領に当選したケニヤッタ氏、そして副大統領候補のルト氏ですが、2007年の大統領選後の暴動を扇動したとして、国際刑事裁判所(ICC)から「人道に対する罪」で訴追されています。既に課題が山積みな感じもしますが、民主主義にのっとってケニア人が選んだリーダーですので、今後も注意深く見守っていくことにしましょう。
文責:谷澤明日香