Positive Livingキャンペーン世界エイズ孤児デー国内の活動

「アフリカの夜空」/世界エイズ孤児デーキャンペーン特別企画「私のPositive Living」 vol.9

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4月16日〜5月31日の期間、プラスのボランティア、サポーター、協力者など活動を応援する人たちが毎日ブログを更新!
テーマは「私の Positive Living」。それぞれの生き方や想いを通して、前向きなエネルギーをお届けします。
全国どこからでも、「今日はどんな記事に出会えるかな?」とアドベントカレンダーのようにお楽しみいただける企画です。
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真っ黒なキャンバスに、まばゆいものから、ほのかなものまで、大小様々な白い光がひしめき合う。2009年春、東アフリカに位置するケニア。首都ナイロビの喧噪から離れた農村で見上げた夜空は、日本からは見えない無数の星がまたたいていました。

私は大学1年生だった2008年春から卒業するまで、エイズ孤児支援NGO・PLAS(プラス)の事務局スタッフとして活動しました。ケニアはプラスが主催するワークキャンプのメンバーとして初めて訪れたアフリカの大地です。11年春に卒業し、国内の通信社で記者として働き始めました。私は時々、あの夜空を思い出します。

11年9月、台風12号の大雨により、紀伊半島を中心に100人近い方が命を落としたり、行方不明になりました。発生から数日後、和歌山県南部に入ると、増水した川の周辺は家の土台部分も根こそぎ奪い、別の家の窓ガラスを破って入り込んでいました。自然を愛して建てた山あいの家が崩れた土砂に埋もれて、一日重機で掘ってもまだ見えない時もありました。私は東日本大震災の3カ月後に岩田県沿岸部を訪れましたが、胸に焼き付いた津波に襲われた後の町の景色と匂いがよみがえりました。

災害だけではなく、交通事故や学校での事故、痛ましい事件によっても人の命は失われ、それでも生きていく家族や友人がいます。そんな方々の話をうかがって記事にして伝える中で、報道の使命感以上に、やりきれなさや自分の無力さを感じることは少なくありません。ぱっとアフリカの夜空が目に浮かぶのはそんな時です。

美しいものはいつも変わらずにある。大切な息子さんを失ったあるお母さんが、「息子を失った悲しみは消えない。それでも、この事件を通じて息子がくれたつながりや、気付きがあるのは確か」と仰っていましたが、そんなことを思い起こします。

エイズ、その病によって親を失うということは、苦境であるのは否定できません。差別の苦しさやお父さんにお母さんに会えない喪失感はぬぐうことはないでしょう。ただ、手を取り合える支援者や友達がいれば、希望を見いだすことはできるはずです。記者にあっても同じです。人の心や世の中に響く報道は難しくとも、やるべき価値は常にあります。

全てのエイズ孤児が笑顔でいられる社会の実現にはまだ依然、歩みが必要ですが、プラスとともに道を進み続けたいと思います。

▼著者プロフィール
川嶋 大介

1988年生まれ。大学在学中の2008年春~11年春、プラスのボランティアスタッフ。支援先のケニア、ウガンダでのワークキャンプには1回ずつ参加しました。卒業後は通信社記者。

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