前回の現地レポートでは、参加型手法を用いて事業の進捗をグループで評価する事例をご紹介しました。
今回は、シングルマザーが自分たちでプロジェクトの課題とその解決方法を見出した事例をご紹介します。
参加型評価事例②:自分たちで見つけた課題を自分たちで解決しようとする試み
2015年2月にジンジャ県で事業を実施しているカユンガグループを訪問しました。このとき参加型評価を実施しましたが、グループから課題として挙げられたのが、紙を裁断するためのペーパーカッターを持っていないことでした。カッターは街まで出かけてお金を払って貸してもらっていました。グループで話し合い、少しずつお金を貯めてカッターを買いたいという意見が出ました。
2月に訪問したときの打ち合わせの様子
2015年6月に再訪すると、カッターを買うためにお金を貯め始めたと教えてくれました。グループで打ち合わせがあるときに、ひとりひとりのシングルマザーが30円や50円程度の小額を拠出します。これを繰り返すことで高価なものも購入できるようになります。
プラスに頼って機材を購入するのではなく、自分たちのできることを考え、実行していました。これは参加型評価を通して、プロジェクトの課題を自分たちで発見し、自分たちで解決方法を提案したことで、主体的に解決に向けた実行ができている例です。
プロジェクト内でこうした変化が見られたことはとてもうれしいことで、プラスの目指す「つくる支援」に一歩近づいたといえます。
6月に訪問したときの打ち合わせの様子
このような評価の在り方は、実はプラス自身にとっても挑戦です。プロジェクト管理では、自分たちで決めた枠に沿って動いていく方が容易ですが、プロジェクトのハンドルを現地の人たちに渡すことに躊躇していては、いつまでも「与える/与えられる関係」が継続されてしまいます。
参加型評価のアプローチを使うことで、プロジェクトの管理を現地の人たちの手に委ねていこうと試みています。
(文責:巣内)