PLASの現地活動現地レポート

ウガンダレポート ―新しい事業に向け②:インタビュー結果から見える新事業の可能性―

プラスでは現在、ウガンダで新規事業を立ち上げるための準備をしています。新規で事業を立ち上げるために、現地でインタビュー調査を行いました。前回の現地レポートでは、インタビューをした村の様子をお伝えしましたが、今回はインタビューの結果をご報告します。

新しい事業はエイズ孤児を抱える家庭の収入向上を目的としており、ウガンダの農村でニーズのあるビジネスを展開する予定です。インタビューでは50家庭を一軒一軒訪問し、どのようなサービスにお金を支払っているか、またどのようなサービスにニーズがあるかを聞き取りました。

どんなサービスにお金を使っているか

家庭の平均月収は50ドルでしたが、エイズで夫を亡くした女性の家庭では平均28ドルでした。村人たちがお金を使っているサービス(各月の支出項目と金額から算出)の上位は、金融・資金管理、医療・衛生費、畜産経費、子どもの教育費、食品購入、農業経費でした。金融・資金管理は貯蓄や借金の返済のことですが、これは教育費の滞納分や、農業用品の購入のローンが残っているケースが多いようです。それ以外の項目も生活に直結する支出がほとんどでした。


村の人が日用品を買う商店

ニーズの高いサービス

またニーズのあるサービス(家庭の必要としているもの)としては、医療・衛生、住居、金融・資金管理、畜産、食品、教育でした。ここでの金融・資産管理は、新しいビジネスを始めるための初期投資にかかるお金を含んでいます。住居と回答した方では、貸し家に住んでいる方は自分の家を建てたいと述べていたり、現在の家をリフォームしてもっと大きな家に住みたいと回答されている方もいました。健康状態について回答される方もおり、バランスの取れた食事や栄養の問題にニーズがあると回答する方もいました。また多くの方が「Malaria」を挙げていましたが、回答者が必ずしもマラリアに感染している訳ではなく、日本でいう「風邪」のように使われることが多く、熱が出て体調が悪い状態を「マラリア」と形容するようです。もちろん本当のマラリアも存在します。


村の中心にある私立の小学校

このインタビューを通して、2つの特徴が見られました。

複数のビジネスや事業に従事している

ほとんどの家庭が大なり小なり農業に従事していました。ウガンダの農業の多くは家族経営で季節や天候に左右されます。1年に2度ある雨季に合わせて耕作や種まきを行い、数か月して収穫します。こうした農業のやり方は不安定で、また小規模農家の場合は一家で消費する分しか作物を栽培できないことがあります。教育費の支払いや洋服や日用品購入のためには現金収入が必要となり、農業以外で収入を得る副業を兼業されている方が多いようです。

支出には季節性がある

各月の最も高価な支出についても聞き取りをしました。その結果、学費の支払と回答する方が多い月、農業に関わる支出が多い月など、月毎に特徴があることが分かりました。ウガンダの学校は3学期制(1-4月、5-8月、9-12月)で学期の頭に学費の支払が求められます。農業は年に2回の雨季に合わせ耕作・種まきをするので、その時期に種や苗を購入する必要があります。クリスマスシーズンには、ドレスの新調、普段あまり食べられない肉類の購入、帰省のための交通費、家族や親戚へのプレゼントの購入があります。その結果、一家庭でも月毎に支出額も大きく変動し、村全体でお金の動く季節とそうでない季節があることが分かりました。


水汲みに向かう子どもたち

より良い事業に向けて

今回のインタビューの結果をもとに、現地のパートナー団体と協議しながら相応しいビジネスの在り方について検討していきます。具体的には、既に支出されているサービスやニーズのあるサービスを軸に、事業の利益性の高いもの、比較優位性の高いビジネスモデルが形成できるかどうかを検討します。事業の立ち上げには時間がかかりますが、現地の事情をよく見極め、事業形成をして参ります。新規事業の進捗につきましては今後もアップデートさせていただきます。

(文責:巣内)