PLASの現地活動現地レポート

カウンセリングを受けて生まれた、シングルマザーと子どもの対話

前回は、ケニアのホマベイ郡ランバ区でのライフプランニング/キャリアカウンセリングの事業について、ご報告しました。
ライフプランニングの事業では、エイズの影響を多大に受ける地域に暮らす孤児が、現実的なライフプランニングに基づいて行動できるようになることを目的としています。自身が置かれた状況に屈せず、自ら未来を切り拓くために必要な資質を備えられるようにするのです。

今日の現地レポートでは、この事業で支援を受けるシングルマザーと子どもたちについて、お届けします。

4人の子どもを育てるシングルマザーパメラさんと、ジャックくん(小学7年生)

パメラさんは2006年に夫を亡くしました。
4人の子どもを育てるシングルマザーです。4人のうち、3人は自立して彼女のもとを離れており、事業に参加するのは小学校7年生のジャックくんです。

ジャックくんの上の兄弟たちは小学校終了後も教育を受け続けることができました。父親が生きているときは経済的にはそれほど苦しく教育費がまかなえたこと、また亡くなった後しばらくの間は家畜の牛を売ったりして、なんとか学校に行かせることができたと話してくれました。
結果、長男は高校ではなく職業訓練校に通い、長女は高校3年生まで、次女は高校4年生まで行って、学業を修了したといいます。

「辛抱強く時間をかけて対話をするようになった」

ところが、いよいよ家畜の牛がいなくなってしまったのです。
パメラさんは、今は小学生のジャック君が、将来どのように高等教育に進めるか心配です。
そこで、PLASのカウンセリングを母子共に受けることになりました。

カウンセリングを受けて役に立ったのは、子どもとのコミュニケーションだといいます。
子どもと接するときに、一方的に指示をするのではなく、辛抱強く時間をかけて対話をするようになったのです。その結果、子ども自身がしっかりと考え、よく理解するようになったといいます。

パメラさんは現地パートナーのスタッフからも信頼が厚く、スタッフは彼女から学んだり、やる気をもらったりしています。

「子どもに過度な家事をやらせなくなった」

マリーさんも夫を亡くして一人で子どもを育てているシングルマザーです。
カウンセリングを受けたことで、子どもに過度な家事をやらせなくなりました。

年齢に応じて、また学業を考慮して、適度なお手伝いをお願いするようにしています。
カウンセリングを受ける前までは、年齢に応じたお手伝いや、学業を考慮してどうお手伝いをお願いするかなどは、あまり考えたことがなかったそうです。

 

現在は、家庭学習をみるようにもなりました。家庭学習をやらなければならないかを子どもと話したり、彼女がどのように子どもの家庭学習を応援できるか考えたりするようになりました。

カウンセリング事業の良いところについて、

「もちろん子どもがセッションを受けて影響を受けるけど、それだけではない。カウンセリングのいい点は、セッションを受けた親から子へ、その学びを共有できる点です。子どもはカウンセラーと親の両方から良い影響を受けることができるのです。」

と話してくれました。