先日ご支援をいただいたクラウドファンディング「エイズと共に生きる、ウガンダの若者の未来をつくる職業訓練を!」は、いよいよ実行に向けて動き出し、現在海外事業マネージャーが10月から11月にかけての出張に向けて準備を進めています。
さて、このプロジェクトで協働する、PLASの現地パートナー団体「マルチパーパス」。
今回は、PLASがマルチパーパスと2016年から実施してきた「カフェビジネスを通した生計向上事業」の進捗と成果をお伝えします。
「カフェビジネスを通した生計向上事業(ウガンダ)」の目的
エイズで夫を亡くし、自身もHIV陽性でエイズ孤児を抱えているシングルマザーたち。
安定した職に就くことが難しく、不安定な体調やHIVによる差別や偏見に直面しながらエイズ孤児を育てています。
この事業では、シングルマザーたちにビジネスを立ち上げるための初期投資とトレーニングを提供し、カフェの開業をサポート。
彼女たちが安定した収入を得て貯蓄を行い、自立した暮らしを送ることで、将来的に子どもたちが教育を受け、修了・進学することを目指しています。
エイズにおびやかされない美しい地域をつくりたいー現地パートナー団体「マルチパーパス」とともに
この事業で協働する「マルチパーパス」は、2002年からウガンダのルウェロ県で活動するNGO。
代表のムシシさんは、
「この団体を立ちあげたとき、この地域ではたくさんの人々がエイズで亡くなっていました。
なんとかこの状況を変えたい、という思いで立ち上げた当時は、事務所もなく、大きな木の下で打ち合わせをしていました」と当時を振り返ります。
活動をはじめて15年、職員は10名近くになり、HIV陽性者のサポート活動を行う当事者のメンバーなど、さまざまな人たちが活動に参加しています。
PLASとは2014年からペーパービーズネックレス製作やカフェビジネスを通した生計向上事業を協働実施しています。
シングルマザーたちの力を引き出す
カフェ事業では、お店をオープンするまでに、様々な研修を行います。
たとえば、焼き菓子の作り方を学ぶベーカリー研修や、ビジネスをまわすために必要な会計について、そして栄養や衛生に関する研修などです。また、貯蓄の重要性についても学んでいきます。
自分のビジネスを持つということ~シングルマザーたちの変化
事業をスタートした頃、シングルマザーのひとり、サリマさんには自信がない様子が見受けられました。
けれども、自分たちで開店したお店で腕をふるい、常連のお客さんが生まれるなかで、いつしか私たちに積極的に話しかけてくるようになりました。
こうした彼女の変化を、パートナー団体のスタッフは
「周りから必要とされること、できることが生まれたことで、自信を得ていったのではないか」
と話していました。
自分のお店をオープンしたお母さんたち。
ときには、HIV感染の影響で体調を崩して、休んでしまうこともあるそうです。
ですが、支出と収入のバランスを取りながら、少しずつではありますが、売上や利益を増やしていっています。事業を開始する前は、日本円換算の月収は平均2,000円程度でしたが、現在ではで3,500円程度まで増えていっています。
現地での調査からは、
- シングルマザー家庭の平均月収や貯蓄額がカフェビネス参加前より増加した
- 栄養や衛生に関する知識が増えた
- カフェビジネスに参加したシングルマザーの心理状況が開始当初と比べて改善がみられた
- HIV/エイズによるスティグマやストレスが大きく改善し自己効力感が上がった
といった、シングルマザーたちの「ポジティブな変化」を垣間みることができました
カフェ事業スタートから1年。
これまでシングルマザー9家庭と20名の子どもたちに支援を届けてきました。
シングルマザーたちにとってのカフェ事業は、期限付きの事業ではなくビジネスそのもので、それは彼女たちの生活や人生そのものであると言えます。
HIVと共に生きていても、自分に価値があると感じることができ、現在を起点に将来を前向きにとらえることができる―PLASが大切にしてる姿勢をカフェ事業のお母さんたちから感じとっています。
今、みなさまのご支援によって新たにシングルマザー9家庭がカフェ事業に参加しています。
お母さんたちがどのように変化していくのか、これからが楽しみです。