(写真:PLASの活動地ウガンダのシングルマザーと子どもたち)
新規感染は減少傾向に、しかし毎年5万人以上がHIV陽性者に
(出典: UNAIDSホームページ HIV新規感染者数推移より作成)
これまで国内外のNGOやウガンダ政府によって、HIVの感染拡大を防ぐためにさまざまな試みがなされ、HIV感染の拡大防止に向けて少しづつ前進しつつあります。UNAIDSによると、ウガンダの新規HIV感染者数は減少傾向にあり、15-64歳の陽性者のうち60%が適切な治療を受けられています。適切な治療が受けられると、PLASのパートナー団体カユンガのリーダー、ジョイさんのように病気にもなりにくく健康に暮らすことができます。
しかし、エイズはウガンダで依然として重要な課題の一つです。2016年、ウガンダの総人口4,150万人のうち、140万人がHIV陽性者であり、5万以上が毎年HIVに感染しています。また、2000年からは減少傾向にあるものの、2016年には2万8,000人がエイズによって命を落としております。
HIV陽性者数を男女で比べてみると
(出典:UNAIDSホームページ 2016年HIV/エイズ指標より作成)
このデータをみると、男女間で大きな違いがあることがわかります。HIV陽性者の割合は女性が高いのですが、その一方、男性は女性と比べて自身が感染しているかどうかを知りたがらなかったり、治療に積極的でなかったりする傾向があり、エイズで亡くなるのは男性のほうが多くなります(UNAIDS. 2017)。
また、UNAIDS(2015)によると、サハラ以南のアフリカでは、男女間の不平等や、貧困、文化的な慣習などが原因となり、若い女性(15-24歳)のHIV新規感染者は高いと言われています。ウガンダも例外ではありません。このため、UNAIDSはHIV拡大を防ぐために女性の権利向上や、若い女性の感染予防を優先課題としています。
PLASでは、弱い立場に置かれがちな女性たち、特にエイズ孤児を抱えるHIV陽性のシングルマザーたちに生計向上支援を届けています。また、お母さんから赤ちゃんへのHIV感染を予防するために、母子感染予防事業も行ってきました。
エイズの流行終結への目標「90 90 90」とは
(出典:AVERT (2017). ‘UNAIDS 90-90-90 TARGET’)
UNAIDSでは、エイズの流行終結をめざす「90-90-90」という目標があります。
これは、(1)HIV陽性者の90%が自分のステータスを知る、(2)陽性と診断された人のうち90%が定期的なHIV治療(抗レトロウイルス治療)を受ける、そして、(3)そのうち90%の人がウイルス量を検出値限界以下に抑えるというものです(※ウイルス検出限界値以下に抑え続けることで、自身も健康に暮らし、HIVの感染や母子感染を防くことができます)。
2020年までにこの目標を達成することは難しいとはされていますが、ウガンダ政府やNGOでさまざまな努力が進められていて、PLASのパートナー団体マルチパーパスの代表ムシシさんも「90-90-90」という目標とともに地域の未来を語っています。
PLASもパートナー団体とともにHIV/エイズの現状を大きな視点で見据えながら、現地に根ざした活動を続けていきます。
出典
AVERT (2017). ‘UNAIDS 90-90-90 TARGET’
https://www.avert.org/infographics/unaids-90-90-90-target
UNAIDS Country Fact Sheets
http://www.unaids.org/en/regionscountries/countries/uganda
UNAIDS (2017) ‘On World AIDS Day, UNAIDS warns that men are less likely to access HIV treatment and more likely to die of AIDS-related illnesses’
UNAIDS (2015) ‘Empowering women is critical to ending the AIDS epidemic’
UNAIDS(n.a.) ‘90-90-90: Treatment for all’