PLASの現地活動ケニアプロジェクト-SACS現地レポート

ケニアレポート|自立が近づく養鶏プロジェクト

ケニアのホマベイ郡ランバ区で2017年から実施している養鶏プロジェクト。
このプロジェクトは生計向上支援事業の一環で、養鶏ビジネスに必要な技術研修や鶏舎建設といった初期投資を提供し、HIV陽性のシングルマザーの自立を目指しています。

彼女たちは、ヒヨコから育てた鶏や、卵を販売することで収入を得ます。
また鶏の卵の一部を孵化させ次の鶏を育てることで、持続的に養鶏を営むことができるようになるのです。

現在対象と参加しているのは9家庭。30人の子ども(エイズ孤児)たちがいます。
多くの家庭が仕入れたヒヨコを鶏に育て、鶏を上手に交配させて、卵を孵化させ、それらを2018年8月以降に販売することができています。

 

PLASが初期投資で支援した粉砕機で鶏の餌を作っているところ(2018.3)

シングルマザー達からの状況報告

2018年10月。
PLASの巣内とパートナー団体「BIDEP」担当のトビアス氏、そして参加者であるシングルマザーたちとプロジェクトの進捗と課題について話し合いました。
2地域で2日に渡って開催した会議には、全9家庭のうち7家庭が参加しました。

養鶏小屋の前にて。プロジェクトに参加するシングルマザーとその子ども。右はパートナー団体の担当スタッフ。

 

会議ではシングルマザーたちからさまざまな報告があり、プロジェクトが比較的順調に進んでいる様子がうかがえました。

(実際のシングルマザーたちの報告内容)

  • 13羽のヒナを育てたが大きくなる前に売ってしまった。理由は、畑にマメを植える時期と重なり、ヒナによってマメの花が食べられてしまう可能性があったから。売ったお金でヒツジを買い、また教育費も支払った。現在は、15羽のヒナを育てている。
  • 7羽のヒナを育てて、9月に販売した。その収入でヤギを買うことができた。
    もともと農業だけで生計を立てていたが、今では養鶏が第一の収入源になっている。
    現在23羽のヒナを育てていて、親鳥と合わせて約30羽を飼育している。
  • 最初に買った雄鶏と雌鶏が病気で全て死んでしまい、大変だった。一度鶏舎をしっかりと消毒し、一定期間を置いてから新たに雄鶏と雌鶏を購入した。そこから11羽のヒナが孵化している。
  • 15羽のヒナを育て販売し、子どもの教育費とした。現在は16羽のヒナを飼育している。

 

鶏舎の課題と改善

また、2地域のうち片方で、鶏舎の壁に問題があることがわかりました。

この地域は「カセウェ」という場所で、鶏舎の壁の材料となる土が他の地域より柔らかいのです。
そのため、鶏舎の壁が崩れやすくなっていたことがわかりました。

特に雨期になると雨で壁が削られるため、そのたびに修理をしなければならなりません。
また壁が削られ薄くなることで、鶏舎内の気温が下がり、ニワトリが病気にかかりやすくなるのです。

そこで、この地域のシングルマザー4名と鶏舎の修理をどのように行っていくか話し合いをしました。

その結果、鶏舎の外壁と床の修理が決定しましたが、その時シングルマザー達からは

①改修に必要な水を用意する
②作業員に昼食を出す
③荷車の材料を用意する(作業員によっては荷車を持ってこないため、現場で作る必要がある)

3つのことを自分たちでやっていくという提案がありました!

話し合いから約2ヵ月後の2018年12月、予定通り鶏舎の修理が行われました

職人さんの手によって床と外壁が修復され、より快適に鶏たちが過ごせる環境を整えることができました。

 

自立の日が近づいてきました

ヒヨコから鶏に育て、その鶏が卵を産み、孵化させて、またヒヨコから鶏を育てる。
その一連の流れができ、プロジェクトが軌道にのっててきたことに私たちもうれしく思っています。

また鶏舎修理の提案があったように、自分たちの手でこの養鶏ビジネスを何とかしていこうという姿勢も見られ、鶏が病気にかかるなど困難な状況でもそれぞれに工夫しながら養鶏を継続していました。

現地パートナー団体からも、彼女たちは技術的にはもう問題が無いレベルとなってきているという評価をもらうことができました。

 

いよいよ自立しHIV陽性ともに前向きに生きる姿が見えてきたシングルマザーたち。

プロジェクトの終了までしっかりサポートしていきたいと思います。