子ども達の意思で将来を選べるように
PLAS-のパートナー団体であるViagenco(ビアジェンコ)はケニア西部のビタにあるゲンベ地域で「ライフプランニング支援事業」を実施しています。
「ライフプランニング支援事業」とは、貧困家庭のシングルマザーたちの多くは、エイズで夫を亡くしていたり、初等教育を中退していたり、また自らもHIV陽性で治療中であったりします。そのため、子どもの成長や発達、進路についての知識や情報を持っていない場合が多く、子どもたちに必要なサポートができません。
そこでPLASでは、そうしたシングル家庭の保護者が、子ども達の発達や教育に関する「保護者としての必要な知識」を身につけて、子どもたちが自分の意志で将来を計画し、選択できる力をつけるための適切なアプローチが出来るよう、カウンセリングを通してサポートをしています。
2019年には、このプロジェクトに参加するために3つの地域から合計30世帯が選ばれ、そのうちの一つの地域、ゲンベ東地区では8世帯を募集しました。
支え合う5人家族
選ばれた8世帯のうちの一家族を今日はご紹介します。
ジュリータ・ジュマには5人の子ども達がいます。そして今回PLASのカウンセリングサポートを受けることになったのは、13歳の娘リンネ・アチエンです。
リンネは小学校の6年生で、2015年にHIV / AIDS関連の病気で父親を亡くして以来すっかり生活が変わってしまいました。
母親のジュリータもHIV陽性のため、体調がすぐれないことが多く、子ども達の面倒を見るのも難しい時があるため、子ども達が十分なケアを受けられないこともあるからです。
リンネは5人兄弟の4番目に生まれました。彼女の一番上の姉は早くに妊娠したため、初等教育を終える前に結婚しました。
長男は2016年に大学に進学するための試験にパスしました。しかし、家計の問題で学費の用意が出来ず、大学への進学がとまったままになっています。
次男は高校2年生で地元の学校に通っています。
長男は、母親が寝込んでいる時などはリンネットと末の4年生の弟の学費のためにも、日雇いの仕事をしなければなりません。しかし、母親も真面目でしっかりした女性なので、体調が良いときには薪を運び、家族を養うための収入にしています。
子ども達のために。母の決意
ビアジェンコチームが5月に調査を行っていたとき、母親は病気でほとんど歩くことができませんでした。そんな中であっても、彼女がプロジェクトに賛同し、参加をすぐに決心したことに感銘を受けたそうです。
カウンセリングのセッションが、彼女の子育てを助け、また感情的で、精神的にも弱い彼女の娘リンネのためにもなると感じたことが、参加を決めた理由でした。
母親のリンネへの心配点は、同じくリンネの担任の先生も感じていることでした。
孤立する子ども達を救いたい
学校の教師は多くの時間を子供たちと過ごしているため、誰よりも子供たちを理解しています。そのため、プロジェクト参加者を探すためにビアジェンコチームは事前に学校を訪問していました。
彼はカウンセリングセッションについて説明を受けている最中に、「今こそ子どもたちにためにプロジェクトをするべきで、私たち教師にもこのようなバックアップが必要なのです。」と言ってくれました。
彼は長年の教師生活の中で、感情的にストレスにさらされ、社会的に弱く、自分を孤立させ、授業中も心ここにあらずという生徒がおり、理由を知りたがっていました。
リンネもまさに担任の先生が気になっていたケースでした。そして偶然にも、この担任はリンネと話合いの機会を持っていたのです。
父親が亡くなり、母親も病気になっているため、リンネ自身もこれからどうなるのか不安であり、クラスメイトからも孤児であり母親が病気であることをからかわれているように感じているのだと分かりました。
担任の情報提供のおかげで、カウンセリングセッションがリンネットにとって、とても役立つことが分かり、リンネの家族が支援の対象として選ばれました。
輝く顔に明るい未来が映っている
こうして、最初のカウンセリングセッションが行われました。
カウンセリングセッションは大成功でした。セッション後、リンネの顔には希望と決意で溢れていました。
これからもキャリアカウンセリングを通して、リンネの自身の強い気持ちとともに、彼女の未来を明るいものへと繋げていきます。
こうした支援を続けることができるのは、日本から支えてくださる支援者のみなさんのおかげです。本当にありがとうございます!
こちらのレポートはアフリカでの新型コロナウイルス感染拡大前のものとなっています。現在は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、プロジェクトを臨機応変に変更、延期、中断しています。
また、受益者のみなさんを含め、社会に取り残される人々のためにPLASは新型コロナウイルス対策の緊急支援を行っています。今回のレポートでご紹介したジュリータさん、リンネさんのご家庭にも届けます。この活動にはみなさんのご支援が必要不可欠です。どうぞご支援、応援の程、よろしくお願いいたします。