PLASの現地活動ケニアプロジェクト-FRESH現地レポート

ケニアレポート|あげる支援ではなくつくる支援ー命をつなぐ野菜栽培ー

ケニアでは、コロナウィルス感染拡大、洪水の発生、バッタ発生による食糧被害が重なるように起こり非常に苦しい状況にあります。

 

物流の制限で供給より需要が高く、予想外の大雨で野菜がだめになったり、バッタが野菜を食べることにより食糧が不足になり、想像以上に食糧の値段が高騰してます。

命をつなぐ野菜栽培

 

PLASでは、2019月10月から、ケニアのビタ郡で「持続可能な家計のためのシングル家庭の農業強化事業(通称:FRESH)」が子どもと家族の命をつないできました

 

この地域のHIV感染率は25.7%とケニア国内で最も高く(ケニア全土の平均は6~7%)、HIV陽性の人たちが生きてゆける環境づくりが求められていたのです。 

 

地域で育てやすい在来野菜を栽培し販売をすることで

  • 自身の食事と栄養を確保し服薬を続けられるようにすること
  • 自給することで食費支出を低減すること
  • 作った農作物を販売して収入を得えて、子どもたちの教育費などにあてること

上記3つを同時に実現することがプロジェクトの目的となっています。 

 

 

乾燥地域であるビタ郡は、ヤギや牛等の家畜を育てている人が多く、近所の家畜が野菜を食べてしまうという問題が多くありました。そこで、FRESH(フレッシュ)事業ではフェンスを作り、その中で安心して、野菜が作れる環境を作りました。

 

また、乾燥地域で水が限られているため、より効果的に限られた土地でより多くの野菜を収穫するための研修を行いました。

 

 

現在、新型コロナウイルスによる移動制限(ロックダウン)により、街やマーケットに移動することが難しく、現金収入が激減または完全にゼロとなってしまった方が多くいます。木炭や古着販売などの小ビジネスをすることができなくなってしまったためです。

 

しかし、FRESH事業で支援した人々は、自分の家で野菜を育てられる環境があります。

 

週500円で暮らす6人家族

(写真左)PLASで支援しているグレースさん(57歳)

 

夫は亡くなり、5人の子どもを育てています。PLASのプロジェクトに参加するまでは木炭を作って販売し、週に500円稼ぎながら、なんとか5人の子どもを育てていたそうです。

 

PLASのプロジェクトに参加している保護者は、地域の中でもより困難な状況に置かれた方々で、期日通りに教育費を払えるような蓄えを持っていません。グレースさんもそのひとりです。

 

教育費を払えないと学校から追い出されることが多くあり、授業を受けられない日も多くあります。グレースさんも小学校7年生まで勉強していましたが、8年生まで通うことは出来ず、小学校を卒業していません。

 

経済的に厳しい環境にいる保護者はストレスから、子どもとの関係をうまく構築できていないということも調査でわかりました。

 

(写真)下の木で囲んだスペースが昔ながらのフェンス。これだとヤギが壊して中の野菜を食べてしまい、困っていたという。

 

 

グレースさんはFRESH事業に参加し始めて、近隣の家畜を気にせず、野菜を作れるスペースを確保できてことで、ともて農業を楽しんでいます。

栄養価の高い新鮮な野菜が食卓に

(写真)真新しいフェンスで囲まれた農地

 

葉野菜を中心にスクマウィキ、デック、オスガ、ボーと呼ばれる現地の野菜を収穫して家族で食べています。これらの野菜は栄養価が高く、2週間で収穫ができる手軽さから、FRESH事業の研修でおすすめしている野菜でもあります。

 

自分で植えたじゃがいもはまだ成熟していないので、収穫を待っている状態だそうです。

 

自分の畑でこれらの野菜を収穫して、新鮮で栄養価の高い野菜を子どもたちに食べさせられることが、5人の子どもを育てるグレースの精神的な助けにもなっているのです。

子ども達に十分な食事と本を買えた!

 

新型コロナウイルスが流行りだしてからは、マーケットに販売しに行くことができず、木炭も思うような価格では中々販売できなかったということですが、野菜3種類を近所で販売して、1000円の現金収入を得ることができました。

 

 

そのお金で、主食のウガリを作るための粉、砂糖、料理油を購入することができました。また、誇らしげに子どもたちに本を買ったことも報告してくれました。

学校再開までに学費を貯めたい

(写真)孫のジョージ君は小学校7年生

 

グレースさんは孫にあたるジョージ君も母親代わりとして、育てています。ジョージ君は実母からネグレクトを受け、お祖母ちゃんであるグレースさんが預かりました。

 

ヒアリングをおこなった際、グレースさんは学校に支払わないといけない300円のうち、150円だけを支払いできていると話してくれました。

 

現在ケニアでは、2021年1月からの授業開始を目指しています。その時に学校から追い返されないのように他の子ども4人の教育費も準備する必要があります。

 

あげる支援ではなく、つくる支援

 

もちろん野菜の収入だけで子どもたちの食費と教育費を捻出することは難しいです。しかし、新型コロナウイルスで経済が停滞しており、現金収入が見込めない現状で、農業支援が現地の人々の命をつなぐことができているのではないかと思っています。

 

あげる支援ではなくつくる支援を。

 

PLASが大切にしてきたことが、本当に現地の人々の生活を支えていると実感でき、今回グレースのお話を紹介しました。

支援を必要とする人々へ、さらに届けていくために

 

クラウドファンディングの支援募集終了以降も、さまざまな寄付や助成金などより支援を募り、活動を広げていく準備を行っています。

是非、継続的に活動を応援、支援してくださる方がいらっしゃいましたら、PLASのマンスリーサポーターをご検討いただけますと幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

https://www.plas-aids.org/support/monthlysupporter