PLASの現地活動プロジェクト-新型コロナウイルス緊急支援現地レポート

ケニアレポート|食糧配布の舞台裏!現地スタッフが綴る準備から当日までの記録

アフリカに渡航することができない間、日本からの遠隔と現地パートナー団体、現地スタッフの協力のもと、ケニアでは2020年4月と8月、2021年2月に新型コロナウィルス対策の緊急支援として食糧配布を行いました。コロナ禍でコミュニティで食糧の調達から配布をしてくれたのは、現地パートナーNGOであるビアジェンコです。

2021年2月18日と19日の2日間にわたった、3度目の食糧支援。PLASでもたびたび食糧支援の様子をご紹介してきましたが、今回は現地パートナーであるビアジェンコのスタッフからのレポートをお届けします!(以下レポートは現地からの英語レポートを拙訳したものになります。)

食料配布の背景と対象者

ケニアでは2020年3月に初めて新型コロナウィルスの感染が確認されました。

現在進行中の新型コロナウィルスの発生により、最も心配な経済危機の一つは食糧不足。そこでビアジェンコは、日本のPLASと協力して、社会的に弱い立場の人々を支援するための食糧配布プロジェクトをすすめることにしました。

 

食糧配布の対象となったのは以下のような世帯の人達です。

  • 幼い子どもと一緒にいる高齢者の家族
  • HIV陽性の人
  • 障害や慢性的な病気を抱えている人
  • 収入のない人
  • 家族に支援をしてくれる人がいない高齢者

 

上記の基準を元に、プロジェクトのカウンセラーが90世帯を特定しました。私達が普段活動をしているゲンベ・ウエストから30世帯、ゲンベ・イーストから30世帯、ゲンベ・セントラルから30世帯が選ばれました。

 

選ばれた世帯のうち、22人がSCOPE※の受益者で、68人が非SCOPEの受益者でした。※SCOPE(スコープ)事業・・・カウンセリングを通して将来に対する考え方や、親子でのコミュニケーションの改善を図ります。

配布物と配布場所について

配給するアイテム一覧

  1.  豆       15㎏
  2.  とうもろこし  20㎏
  3.  サラダ油    2㎏
  4.  砂糖      2㎏
  5.  塩       2㎏
  6.  お米      20㎏
  7.  粉ミルク    1㎏
  8.  除菌石鹸    3個
  9.  液体洗剤    500ml
  10.  マスク     1人2セット

 

ビアジェンコでは、公平であることと公正であることを大切にしています。それは、「調達」においても同様です。プロジェクトでは2021年1月19日に、配布する食糧品の見積もり・入札を行いました。最終的には、以下のような様々なサプライヤーが食糧品を供給することになりました。

  • POA Investments:とデトールの抗菌石鹸
  • Shalom Shop:食用油、粉ミルク、除菌剤、液体抗菌石鹸
  • RIJA Shop:砂糖、塩
  • Genesis Shop: 豆類、トウモロコシ

 

(写真)こちらは「飛んでけ!車いすの会」様から寄付いただいた手作り布マスク

 

(写真)配布する塩と砂糖

 

(写真)粉ミルクの入った缶

事前準備の徹底

配布が行われたのは、2021年2月18日と19日の2日間。この日のために、スタッフは対象となる世帯の人々に電話をかけ、実際に訪問し、さらに村長事務所に招待状を送ることで、配給をきちんと受けられるように徹底しました。

 

90世帯すべてに連絡を取り、2021年2月18日には50世帯、2月19日には40世帯が招待されました。配布時には、混乱の可能性もあり、配布時の安全のために警備員を雇いました。

 

また、配布場所は、十分な広さがあること、日陰があること、ソーシャルディスタンスもきちんと確保されることなどを配慮して選定しています。

配布当日の様子

当日は、手洗い場を複数設置し、プロジェクトスタッフが入り口に常駐して、マスクを着用し、手を洗い、体温を計るように案内をしました。

 

 

過密状態を避けるために、受益者が常時6人以下となるようにしています。

過密状態を避けるため、受益者は食糧品を受け取ったら、速やかに帰宅するようにお願いしました。

 

 

ロックダウン後、私たちはいくつかの家庭を訪問しました。そのうちの3つの家庭の受益者は、病気で弱っており、疲れ切っていました。彼らの顔には、近い将来の希望が見えませんでした。彼らの世話をしている子どもたちは、この状態を心配していました。

 

栄養失調は、多くの家庭で深刻な問題となっています。十分な食事やバランスのとれた食事が不足すると病気を引き起こす原因となります。

食事をとることの大切さ

食糧配布から3日後、私は再び受益者の一人に会いに行きました。彼女は近所のお店に行くところで、3日前とは見違えるよう。彼女の顔は希望に満ちていて、嬉しそうに私を迎えてくれました。

病院で治療を受ける必要があるかどうか尋ねたところ、まだないとのことでした。念のため、支援を受け取ったかどうか聞いてみました。彼女は受け取ったと答えてくれました。

この2日間、彼女は米と豆を炊いて、とてもおいしく食べて、仕事をするための体力を得たと話してくれました。食事を摂ることがいかに大切であるかを実感しました。

 

食糧配布の緊急支援は成功し、皆が喜んでいます。

 

日本の皆様、あたたかい支援をいつも本当にありがとうございます。