PLASがケニアで実施しているプロジェクトの一つにFLOWER事業(エイズ孤児を抱える貧困家庭の生計向上とキャリアプランニング支援事業)があります。
このFLOWER事業について現状を把握するためにベースライン調査を行いました。
一部最新のデータでない部分がありますが、今回は、ベースライン調査についてそのハイライトをご紹介したいと思います!
現状を把握し、成果を測るためのベースライン調査
PLASでは活動の成果や進捗を図るために、ベースライン調査を実施しています。
ベースライン調査とは活動の進捗やどこまで成果が出ているのかなどを測るための元にデータを把握しておく作業です。PLASでは質問表を用いてインタビュー形式で行い、記録し、分析を行います。データを取っておくことで、支援の前はこのような状況だったけれど、支援活動を通してこのような変化が生まれた、といったことが見えやすくなるのです。
とはいえ、活動成果を図ることは簡単ではありません。データに出るものもあれば、なかなかデータとしては出てこないものもあります。また、「その成果は本当にPLASの活動だけが影響しているの?」など、気を付けて分析しなければならない点もたくさんあります。
PLASでは現状把握も含めて、可能な限りデータを取り、活動を評価・改善し、支援者のみなさんや協力組織に客観的な視点をもって活動を共有、報告できるようにベースライン調査を行っています。
100人の子どもと保護者へインタビューを実施
今回のベースライン調査は、2021年5月から6月にかけて、受益者となる50家庭(保護者50名、子ども50名の計100名)に行われました。
調査は、まず調査票作りから!現地のパートナー団体であるビアジェンコと共同で調査票を作成しました。また、実施の際は日本からもスタッフが渡航し一緒に行いたかったのですが、コロナ禍でアフリカ渡航を減らしているため、ビアジェンコのスタッフが調査する形ですすめることになりました。
調査を行う際には、インタビューを行う環境やインタビュアーとしての態度、対象となる保護者や子どもたちそれぞれに対しての配慮についてのガイドラインに沿って行われています。
保護者への調査の内容は、収入や貯蓄など家計に関わるものから、最終学歴など保護者自身についてのこと、さらに子どもの教育についての考え方や、子どもとのコミュニケーションの実態、今後の家計についての見通しはついているかなど約100問の質問となっています。
子どもたちへの質問は、家族と家にいる時間の満足度や、家族について、将来のキャリアや職業についてなど、約50問の質問を行います。
教育費を払えない家庭の状況が浮き彫りに
調査の結果、現在約半数の家庭で貯蓄がないことやほとんどの家庭で借金やローンがあること、今学期の教育費の支払いが遅れた家庭がほとんどであることが分かりました。これらは生計向上事業に関する指標となります。
また、カウンセリング事業に関わるものでは、中学校や高等教育の選択肢や奨学金の情報を知っているのは10家庭にも満たず、将来なりたい職業やプランがある子どもも多くはありませんでした。
今回のベースライン調査によって、保護者が経済的に苦しい状況に置かれ教育費納入が遅れていることや高等教育に関する情報不足があることが分かりました。また、子どもたちが自分の将来像を描けていない状況が浮き彫りとなりました。
今後、FLOWER事業におけるカウンセリングと生計向上の活動を進めることで、今回浮き彫りになった問題と現状を改善していき、子どもたちが前向きに将来を考えたり、計画したりすることができるようになることがプロジェクトの目指すところです。
PLASではこれからも、子どもたちが学校に通い、将来を思い描くことができるよう、そしてそのための進学など次のアクションにつながるように、支援していきたいと思います。
☆PLASでは、マンスリーサポーターとして継続して活動を応援してくださる方を求めています。関心のある方は、ぜひマンスリーサポーターのページをご覧ください。