PLASが手掛けるプロジェクトの1つであるFLOWER(生計向上とキャリアプランニング支援事業)。この事業はJICA草の根協力事業として行なっており、子どもと保護者の未来をつくるためのカウンセリングと、農業支援による生計向上を行なっています。
プロジェクトを行っているケニアのビタへ、日本から出張しています。今回の出張では、東京→ドーハ→ナイロビ→キスム→ビタと移動して到着しました。
今回はケニア出張中の藤原より、農業支援による生計向上で飼育しているロバの様子をお届けします。
ロバの役割は?
事業地のビタはアフリカ最大の湖、ビクトリア湖の湖畔にあり、水道や電気、ガスなどのインフラが整っている家はごく一部です。
生活用水は湖で調達します。毎日がれ場の山道を片道30分以上、帰りは上りに加えて20Lのタンクを持っているため倍以上、の時間をかけて湖まで汲みに行くのです。
1日の生活用水分だけで、家と湖を3往復しなければなりません。加えて農業用水を汲んでくるなど、大変な重労働なのです。
ロバの背中を借りてタンクを運ぶことができれば、一回の水汲みで何倍もの水を汲んでくることができます。
ビタでは一日中、ロバの背中に黄色いポリタンクを4つも5つもぶら下げてカランカランとタンクのぶつかる音を鳴らしながら、のんびりと、でもまっすぐに水汲みに行くロバと子どもたちが見られます。
(写真:若いオスのロバ。体格・肉付きがよく、皮膚病や目やにも見当たらず、健康そうです。)
聞かん坊のロバ
FLOWERの受益者家庭はこれまで生活が厳しく、ロバを得ることのできていない家庭です。そうしたご家庭に、ロバを支援しています。
最後までしっかり責任を持って世話してもらうために、受益者の方にも一部の費用を負担してもらい、準備のできた家庭からロバを配布します。また、研修ではロバに飼育についても学んでもらいます。
ルーフお母さんとハドライトのところにも、ようやくロバがやってくる時が来ました。
用事があり出てこられなかったルーフさんの代わりに、学校が春休み中のハドライトがロバを引き取りに来ました。
限られた資金内で市場をくまなく探して見つけてきたのは、若く健康そうなロバのオスです。
「本当はメスの方が良いのだけど、こいつは若くていいオスだから、いいロバだよ。」
と太鼓判を押したのは、ルーフさんとハドライトのカウンセリングを担当していたカウンセラーのべナード。
ハドライトは初めて連れ帰ることになったロバにおっかなびっくりでしたが、「ロバは好きかな?」と聞いてみると、こくりと頷きました。
ハドライトの家までは歩いて2時間ほど。知らない人に囲まれて「絶対言う通りになんて歩かないんだから!!」と言わんばかりに興奮している、聞かん坊のロバを1人で連れてかえるのは難しそうで、もう1人ついて行くことに。2人で連れて帰ることになりました。
(写真:何がなんでも集合したくないロバ。ロープを持っているのはべナード。ロバは密かに敷地外への逃亡を企てています。)
自分の行きたい方にしか歩かないロバが水汲みを手伝えるのか心配になりましたが、
「大丈夫、ハドライトがきちんとお世話をしてロバが懐けば/慣れれば言うことを聞くようになる。」
とは、これまたべナード。
(写真:紫のトップスを着ているのがロバを引き取りにきたハドライト、真ん中がべナード、右が藤原。)
すでに設置してある農業用フェンス、農業用水を運んでくれるロバ、これでしっかり農業の準備は整いました。ルーフさんとハドライトがどんな野菜を植え、食べて売ることができるのか、生計向上支援は続きます。
こうした活動が出来るのは日本の皆様の温かい支援のおかげです。
継続的に活動を応援、支援してくださる方がいらっしゃいましたら、PLASのマンスリーサポーターをご検討いただけますと幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。